「なぁ!それ一口くれよ!」
私が大好きなレモンスカッシュを飲んでいると、遊馬が私の側まで来て自分の口を指差しながらそう聞いてきた。
「い、嫌だよ!」
遊馬からレモンスカッシュの入った容器を引き離し、ベーっと舌を出してやる。
それでも遊馬は、執拗に私のレモンスカッシュを狙ってくる。
やだやだ 言っても、遊馬はなぁなぁ と迫ってくるから、私は少しずつ後ずさって、距離をとる。
「なんでくれないんだよ!」
ついに遊馬は、ぶー と唇を尖らせ私に近付くのをやめてくれた。
私はほっと一息を吐き、一口レモンスカッシュを喉に落とす。
遊馬には、これを一口もあげれるわけがない。 だって、そんな、か、かかか間接キスになっちゃうじゃないか…!!
ゆ遊馬と間接キスなんて…!!想像しただけで照れちゃうよ! だって、だって、私は遊馬が好きなんだし……、だだだから私は……その……モゴモゴ……っ。
「もーらい!」
「はにゃっ!?」
私が一人でモゴモゴしていると、遊馬が私の持つ容器のストローに食いついてきた。チューチューとレモンスカッシュを吸われてしまう。
「は、にゃ、にゃあ……」
ダメだ。頭が真っ白になってしまう。
遊馬は暫くレモン味のするそれを飲むと、ストローから口を離した。
「ゆ、遊馬!?」
「ぷはー!旨かったぜッ!」
遊馬はニカッ と笑って、私の頭をポンポンと撫でてきた。
つくづく思うのだが、実は遊馬分かってやってないのか?
う、旨かったじゃないッ! 笑うな!撫でるな! と、私の脳内は絶賛大パニック中である。
「遊馬のバカ!!!」
私が遊馬の背中を思いっきり叩くと、遊馬は痛い痛いと言いながら、私の腕を掴んだ。攻撃を止められたんだ。
「そんなに怒るなよ!」
ちょっとぐらいいーだろ!? とか言っているが、別にレモンスカッシュを飲まれることはいいんだ。
ただ、それが遊馬なのがダメであって…!!
「名前赤くね?」
小首を傾げた遊馬に、頬をつつかれた。 遊馬の持つ体温が指先から伝わってきているかのように熱い。
「誰の所為だと思ってんの!!」
私の言葉に、遊馬は誰だ? と疑問を重ねてくる。
遊馬の所為だよ! とも言えず、私はその場から立ち去った。
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遊馬夢は自給自足になる。
初遊馬www