私はおかしいのか。
人間の真似事をする自分を嘲る。
手首から溢れた赤のソレは、そのまま腕を伝い、溜まりを作ると落下した。赤の滴は止めどなく落下し続ける。私はその様子を、血の気が引いたためふわふわとする頭で理解していた。
リストカットと言うらしい。
人間が人生に絶望した時に起こす一種の手段だ、とドルベから聞いた。
しかし、私はこの行為を絶望したから行うのではない。
私は血で濡れた剃刀を机の上に置く。そして、ゆらりゆらりと傾く身体のままに、私は床に倒れ伏した。 起き上がろうとは考えない。
いいのだこれで。
「ミザエル!?」
予想より少し早めに来た彼女に驚いた。しかしまぁ、早ければ早いほど、喜びもひとしおなのだが。
名前はなぜか私の危機によく反応する。これは…、……リストカットは、そんな彼女を呼ぶための手段なのだ。
「ミザエル!?大丈夫!?」
駆けて来た彼女は私の側にへたり込むと、私の左手首を高く掲げ、圧迫をはじめた。止血とやらをやっているらしい。
暫くすると、圧迫をしたことにより、流れる血は止まった。私としても、彼女が来たのだから、これ以上の出血はもう必要ないと思っている。私は止血にとやかく言うつもりはない。別に死にたくてやっているわけではないからな。
「…………」
無言のまま、名前は私の手首を治療してくれた。包帯を巻き終わると、彼女は嘆息を吐く。そして、私をその澄んだ双眸で、心配そうにという感じではあるが、睨み付けてきた。
「……バカ」
整った顔をグシャグシャにしながら名前は泣き出した。その様子から、どれだけ心配していたかが分かる。
そんな彼女に、私は歓喜した。
ああ、そうだ。私が自分を傷付ける意味なんてただ一つ。彼女の意識を私に向かせたいからだ。 そのためには、気狂いだと言われてもいい。なってしまってもいい。
彼女は誰かが傷付けば、必ず同じ顔をする。それがとても面白くない。だから私はこうやって、定期的に彼女の意識を私に向ける。
そのまま彼女が、私を心配し続ける生物になればいいんだ。
他のことをもっと、めちゃくちゃにしてしまえ。限りなく蔑ろにしてしまえ。私だけを見るようにしてしまえ。私以外を見れないようにしてしまえ。おかしくなってしまえ。壊れてしまえ。
彼女は私のものだ。
それを証明するために。確かめるために。私は今日も血を流す。
ああ、アカイ。
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ヤンデレミザエル( *・ω・)ノ
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