YGO短編2

□サワイバラ
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※前世・捏造?
※ベクター姉主


我が国の現・王である私の弟は、冷酷非道な者だ。
誰にも負けないほど暴君で、唯我独尊。何よりも自分優先で、逆らうものは即、処刑。
そんな王の統制の下で、この国は不安定で歪な歯車を回しながら繁栄していた。と、言っても、繁栄しているのは城中だけなのだが。民は、一番幸せでなければならない国民は、この国では、一番に蔑ろにされている。

私の弟は、支配することが、侵略することが大好きな馬鹿者で、特に問題のない国を狙っては、一方的に潰している。私はそんな彼に強く反対をし、実の弟の手で、牢獄に放り込まれた。

何日間もこの暗闇で過ごすが、どうやら彼は私を殺す気はないらしい。その証拠に、弟は度々ここに訪れては、私に屈服を迫ってくる。生かしておく代わりに、俺に従えということであろう。

ああ、もし私が男子として生まれてたのなら、この国をこんな殺伐とした軍事国家にはしなかっただろうに。遺伝子を心底憎む。



「よぉ、姉貴」

「……今日も来たわね、愚弟」

「フハハッ!愚弟、ねぇ?……愚かな我に閉じ込められてるお前は随分な愚姉じゃねェか」


あながち間違ってない。結局、私は未だに弟を信じているんだ。まだ、希望があると。信じていたいんだ。そんな愚かなことがあるか。


「で?今日は何の用? まさか、ここから出してくれるわけじゃないんでしょう?」

「ギャハハハ!まさか!我が無条件で出してやるわけねェだろ!一応、お前は国の"ハンギャクシャ"さんなんだからよォ!」


反逆者。それもそうか。国王に逆らったのだ。妥当な二つ名じゃない。

弟は、品性の欠片も感じさせない高笑いを上げると、いきなり真剣な顔付きになり、中と外とを隔てる鉄格子をガシャリ と握った。
私が驚いて彼の顔を伺うと、幼い頃、飼っていたウサギが死んでしまったときと同じ表情をしていた。


「っ…!? あ、あんた……」

「なぁ……我に従えよ……」

「…………」


彼の言葉に首を振る。それは、出来ない。


「………んでだよ……姉貴……」

「………」

「従え、よ………」


じゃねェと、我は……。彼の表情に変化が見られ、私は思わず顔を背ける。 泣いている。姉弟だからか、すぐに分かった。


「頼む……たった二人の家族だろ……っ!!」

「たった二人の家族だからでしょ。家族が道を誤ってるのを、見過ごせるわけないじゃない」

「……道を誤るって………じゃあ、我は、どうすればよかったんだ!?誰も信じれない!我は誰も!………姉貴しか…信じれねェよ………」

「なら、私を信じなさいよ!」

「信じてる」

「信じてない!」


私は思わず立ち上がって、バカなことばかりを言い続ける愚弟に歩み寄る。彼は信じてない。絶対私を信じてない。


「私はね!あんたのことを思って………!」

「バカな姉貴」

「え?」


俯いていた彼が顔を上げる。その顔は、道化のように歪んでいた。


「あんた……どう、したのよ」

「ハハハ!我がお前を信じるわきゃねェだろォが!ブハッ!」


耳障りな笑い声に身震いがした。だって、こいつ…………


「あんた、何泣いてんの?」


顔だけ道化のように歪めながら、大量の涙を流している。
分からない。なぜそんな顔をする?


「なぁんで泣いてるかってぇ…?」


また一度笑いながら滴を落とし、弟は歪んだ口を開いた。





「お前が愚か過ぎて泣いてんだよォ!!!」








私にはそれが、「我を助けて欲しい」と嘆いているようにしか聞こえなかった。








「愚弟」





……………………………………



なんか唐突に書きたくなりました




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