YGO短編2

□満足なんか出来るか!
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最近サテライトで名を馳せているチームがある。
その名もチーム・サティスファクション。満足同盟とも言うらしい。
私は幼い頃からこのサテライトで暮らしてきた。だから、そこそこ度胸だってあるし、デュエルだって人一倍には強い。
でも、結局私は女。 サテライトでは、女の肩身が狭すぎる。 私はそんなサテライトに嫌気が差してきていた。
こんな私にとって、そのチームは魅惑の物だ。限られたサテライトという中で、可能な限りの満足を求めるだなんて、私にピッタリな目的は他に無いだろう。
そう考えて、チーム・サティスファクションの根城に来たのだが……………。
私は絶望した。


「なんだ?お前」


目の前に立つ男、銀髪に金眼という外見からするに、リーダーの鬼柳京介本人だろう。
その鬼柳は、呆然と立ち尽くす私に、怪訝そうに首を傾げる。
なんだ、じゃないわよ…!! 気が付くと、私は強く拳を握っていた。ギリギリと、鈍い音がする。

そのまま暫く時が過ぎると、奥から三人の男が出てきた。 不動遊星に、ジャック・アトラス、クロウ・ホーガンで間違いないだろう。 三人は各々、バラバラなことを言っているため、頭に入らない。ただ、四人全員が並んだことによって、私の絶望は増した。
信じられない。信じられない。 小さく呟くと、鬼柳は聞こえねーぞ?と問いてくる。 それに私は下唇を噛みしめ、顔を上げた。 ダメだ、我慢できない!


「ダサい!!!」


叫んだ私は、本能のままに鬼柳を組み敷き、その服を剥ぐ。額に巻いたバンダナもだ。というか、バンダナがダサさを助長している。 何年前のアイドルだよ!
私はサテライトで生まれ育ったけど、一般人並のセンスは持っているつもりだ。 こいつらのセンスは、おかしい!断じておかしい!おかしいどころじゃない! あり得ない! こいつらの満足はどこに向かっていると言うの!?


「鬼柳!あんた、顔はいいんだからもっと服装にこだわって!?あり得ないから!」


私がキリの良いところまで言うと、誰も声を発さなくなった。
はっとする。私、何やってんだ!? センスゼロの鬼柳を組み敷いて、上半身だけとは言え服を剥いで、初対面の人に説教とか! マジで何やってんだよ私! ただの変人じゃないか!

うわぁあああ! と、私が穴があったら入りたい気分になって頭を抱えていると、下から笑い声がした。 私は疎か、他の三人までもがぎょっとしている。 声の主はもちろん鬼柳。下から声がしたんだから、鬼柳じゃなきゃおかしいんだけどね。


「お前、面白いぜ」


鬼柳は白く長い指を、私の前髪に絡める。その一連の動作に、不覚ながらドキッとしてしまった。 センスは無いとは言え、かなりイケメンだからな。服を着ていない鬼柳にときめくのはおかしくないはずだ。……あれ?まるで私が変態みたいな文に……。気のせい?


「名前は…?」


私がボー と考え事をしていると、鬼柳に問い掛けられ、思わず名前を名乗っていた。


「名前。名字名前」
「名前、な」


少しばかり口角を上げた鬼柳に見とれていると、背中に衝撃。気付けば、体勢が逆転していた。つまり、私が鬼柳に組み敷かれているのだ。
この状況に頭が真っ白になっていると、鬼柳のやけに明確な声が奏でる。


「名前、俺と満足しようぜ」


それはチームへの勧誘であるはずなのに、私は赤面せずにはいられなかった。







……………………………………


満足さん書いて、私が満足。




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