大空(長編)灼眼のシャナ
□第三話「デート(前編)」
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雲ひとつない空
時刻は午前十時過ぎ
悠二とシャナは涼しい木陰を歩いていた
「シャナ?」
「ん?」
「どこに行こうか?」
「え?悠二、考えてなかったの?」
「え、いや、シャナが行きたいところがいいかなって思って・・・」
悠二は苦し紛れになんとも言い訳がましいことを言う
「こういう場合は男性の方が考えるんだって千草が言ってた」
昔、母親のように慕っていた女性の言葉を思い出して言う
その名前を出されて悠二は固まってしまった
そして数秒の間があって
「あははは。やっぱ、母さんにはかなわないや」
シャナもそんな悠二をみて自然と笑顔になった
しばらく二人で笑いあって
「考えてないならこれから考えればいい」
シャナは悠二の手を強く握った
「うん。そうだね」
悠二もシャナの手を握り返す
「行こう!悠二」
シャナが走りだす
「待ってよ!シャナ!!」
シャナにつられて悠二も走り出した