大空(長編)灼眼のシャナ
□第二話「朝」
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「起きたのか、坂井悠二」
「アラストール、出してもらったの?」
苦笑しながら魔神の方を振り返る
「ああ、さっきあの子が浴室に入る前にな」
彼はシャナと契約した紅世にその名をとどろかす“天壌の劫火”アラストール
今はペンダント型のコキュートスが枕元に置かれてあるが夜は夜笠の中にしまわれている
(まあ、確かに僕も父親代わりの人に聞かれるのは・・・)
「ふんっ、同意の上でなければ我だってお前などにあの子を・・・」
それ以上言うのは自分でも嫌だったのであろう
アラストールは黙り込んでしまった
「大丈夫、僕も彼女もちゃんとわかってるから」
起き上がりコキュートスの前で正座する
「彼女を不幸には絶対させない。だから任せてください」
彼女の父親に、彼女の伴侶として
真剣な目でコキュートスを見つめる
「ふんっ、あの子がお前を選んだのだ。我は何も言うまい」
「ありがとう」
ちょうどその時、浴室の扉が開いて制服姿の彼女が出てきた
「悠二ー。お風呂開いたよ!」
「ありがとう。今、入るよ!」
今日は、ずっと前から話していた久々のデートの日
少し胸を高鳴らせながら彼女と入れ違いに浴室に入った