BLEACH Novel

□雪の降る夜に
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真夜中。



虚の反応があり、僕は家を飛び出した。
外は真っ白な雪が積もっている。



雨「くっ…!上手く走れない!」



雪に脚を取られ、思うようにスピードが出ない。



やっとのことで虚が僕の前に現れた。
いや…あれは破面か…。


巨大な破面は何か手に持っていた。
それは…



雨「ヒトか!?!?」



僕は直ぐ様破面に近よる。
破面は気付いていないようだ。



滅却師の僕は弓矢を構え、急所に狙いを定める。


キリキリッと弓矢を引く音が微かに鳴り、破面が僕のほうを見た。


その瞬間


僕は弓を離し、破面の図体に矢を放った。


破面は力無く倒れ、雪に溶けるように消えた。



地面に座り込んでいるヒトに歩み寄った。



そのヒトは女性だった。
雪のように白い肌…「綺麗」という単語と縁のある人だと改めて分かった。



その白い肌に、深紅の瞳。
長い黒髪が風と同じようなリズムで靡いている。




雨「お怪我は御座いませんか?」


『………………』



必死に何かを伝えようとしているが、声が出ていない。



雨「もしかして…喋ることが出来ない…?」



そう聞くと、彼女はコクコクと頷き、空に視点を向けた。


まるで雪の妖精だな…。



僕は彼女に見とれていた。



雨「あ、自己紹介がまだだったね。僕は雨竜、石田雨竜」


彼女は優しく微笑み、地面の雪を利用して、文字を書いた。




【よろしく雨竜。私は日向柊】


雪の妖精では無かったようだ。
名前がちゃんとある。



雨「そうか…日向さん、家は何処だい?送ってあげるよ」



日向さんは、再び地面に何かを書いた。



【家、分からない】


成る程…



雨「なら僕の家に来るといい。雪の中、外で野宿してしまったら死んでしまう」


そう言うと彼女はまた柔らかく笑みを浮かべ、立ち上がった。



雨「さ、行こう」



日向さんは僕に凭れかかりながら、歩いた。



彼女の体はビックリするくらい冷たくて、一瞬にして僕の体を冷やした。
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