NOVELの扉

□一番隊隊長は束縛好き
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俺は変な夢を見ていた。
顔はよく見えねぇが、俺を一人残し、何処か知らねぇ所へ行きやがる人の夢。


だが俺はこの先の夢を見ちゃいなかった。何故なら叩き起こされたからだ。



『起きて下さい沖田隊長!』


「っ痛ぇな。何するんでィ」


私に起こされて相当不機嫌な沖田隊長。
お気に入りのアイマスクをくいっと上げ、私を睨み付ける。


『今、稽古中ですよ?何時まで寝てるんですか!』


うるせぇなァと言わんばかりに耳を両手で防ぐ。
副長に怒られても知らないよ…。

腰の重い沖田隊長の手を引っ張り上げ、無理矢理立たす。


「馬鹿か…今起きたばっかなんだよっ…うわっと…!」


脚を縺れさせ、後ろへ傾いていく沖田隊長を前から抱き締めるように支えた。


『危ないじゃないですか!』



間一髪。
もうちょっとで戸棚に頭、ぶつけるとこだった。
花崎のおかげでぶつかることは免れたが、この体勢はキツすぎ。


「花崎、もう大丈夫だから離れて下せぇ…」


『………ヤです』


「……参りやしたねィ」


そろそろ体勢の限界。
ちょっと後ろに傾いて立っちまってる状態だ。
戸棚に凭れようにも距離がある。
このまま姿勢を前に戻せば、バランスがとれなくなり花崎を押し倒すことになっちまう。


いや…考えすぎか。
例え押し倒したとこでコイツはそんなこと期待してねェよな。


『………もう少しだけ、このままで…っきゃ!』


やっぱ姿勢を直したら押し倒しちまった。
さて…どうするか。


『沖田、隊長……』


あの目、完全にヤりたげだ。
完っ全に期待してやがる。


一番隊隊長、沖田総悟

何れ副長の席に座る俺。
こんなことで悩んでどうする。



可愛い部下が待ち遠しそうに要求してんだ。


一肌脱ぎますか。
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