蛇寮短編
□〜グッモーニン、愛しのにゃんこ様〜
1ページ/5ページ
早朝や夜中、目覚ましが鳴ったわけでもないのに、ふっと目が覚めることがある。
大抵、起床時間のかなり前なので、
時計を見て安心して、至福の二度寝気分を味わえ、私は好きだ。
今日もそんな気分で、もそもそとベッドヘッドに置いてある時計を手に取ったのだが…。
「9時…40分…。」
一瞬、サーっと血の気が引く音がした。
うわあああ、やっべええええ、遅刻どころの騒ぎじゃねえぇー!!…って、ん??
「今日、休みじゃん!!」
「にゃぁ…。」
思い切り、安堵を込めて自分で叫んだら、横たわったままの顔のすぐ横で、
煩いなぁとでも言いたげな、寝起きのもにゃもにゃした鳴き声が上がった。
「ああ、ごめんごめん、ドラコ君。思い切り、起こしちゃったね。」
「なぁーぉ。」
そうだよ、だから責任もって、撫でて寝かしつけろよってな具合で鳴かれる。
もちろん、喜んでー!!
「よーしよし。ドラコ君はいつも可愛いけど、寝起きもまた格別に可愛いねえ。」
バカップルのようなセリフをにゃんこ相手に言いながら、
ロシアンブルーの子猫の艶やかな毛並みをのんびり撫でる。
おやすみモードの丸まった状態から、まだちんまい手足をのびのび伸ばして、
子猫はご満悦で、ごろごろ喉を鳴らしておられた。
どうしよう、今日もうちの子がこんなに可愛い。
「ああ、ドラコ君相手なら、私は下僕でいいよ!可愛いなぁ、ほんと可愛いかわ…いたい!!」
寝ころんだまま横を向いて、デレデレと子猫を撫で続けていたら、
いきなり、それなりの重さがある黒猫に左目をがっつり踏まれた。