ジェットコースターは急降下。

□唄×四弦
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たとえば、誰かを好きになるということは失うことで。




















午後、晴れた空はけだるい雲をいくつか、僕らは過去の話をいくつか。

















隣にいるのは、大切な、ひと。

















平和で、何もなくて、時間はもう、ずっと動いていないみたい。

















部屋の家具はすべて、処分した。












いろんなことは、僕らが忘れてしまえば、無かったことになるんだし。



じゃああれも、ってかんじで。














苦しかったこととか、いらないものは、捨てちゃおう。










言ってしまえば、正くんさえいてくれるなら、なんでもいいんだけど。










正くんを守るために生きて、何を守るために消えるんだろう。




















少なくとも、正くんでは無いなぁ。 












形ないもの










愛情、とか?










それは、正くんなの?
















好きになるということは、失うことで。












僕がずっと正くんを好きでも、正くんは僕に別れを告げるかも知れない。






正くんが僕をずっと好きでも、僕もいつかは死ぬだろう









でも今は正くんを好きで、正くんも僕を好きで、それが僕ら。













そんな今を保つために、今日僕らは終わるんだよ。





















見つけたんだ、失わない方法。


なにそれ、どうするの。


んーとね、














竜ちゃん、俺、竜ちゃんのこと、大好きだよ


僕も、正くんだいすき
















今日で世界は終わるのに、酷く穏やか















残るのは、話してた過去とか、そんな概念。


それだけなのに、不思議と穏やかに正くんのこと、見ていられる。















「じゃあ、」









たとえば、好きになるということは、失うことで。













大好きな、正くん。













残酷な世界に、ほんの少し、小さな抵抗。






僕と正くんだけの、秘密。















目を閉じて、手を伸ばして。










白い首。



















空は青くて、時間はもう、ずっと動いていないみたいだった。

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