天国の沙汰も彼女次第。

□第六話。
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「ねえ、夜僕のこと呼んでみて」



仕事中にいきなり言い出した白澤に夜は意図が分からず首をかしげた。



『えっと、神獣様?』

「じゃあ、鬼退治をしたのは?」

『桃太郎さん』

「閻魔大王の第一補佐官は?」

『鬼灯様』



次々と獄卒や亡者の名前を挙げていく白澤に夜は訳も分からずただひたすらに名前を言っていく。



「あの、白澤様どうかしたんですか?」



遂に見かねて桃太郎が白澤に聞くと白澤は、おかしいよね!!と声をあげた。



「うえっ!?何がですか」

「だって夜は僕と一緒にいる期間が一番長いのに何で僕だけ名前呼びじゃないの!?」

『え…』



ねえ、と夜の方を向いて言う白澤に夜は言葉を詰まらせた。



「あぁ、確かにそうですね…」

「でしょ?なんで?」

『何でと言われましても、神獣様が呼び方は何でも良いと仰ったんですよ?今更変えるのもどうかと…』

「別に構わないよ!!」

『いや、神獣様は良いかもしれませんが私は構います。それに…いや何でもないです』



二人に背を向け書類整理をする夜に白澤は、後ろから抱きついた。



『神獣様重いです退けて下さい』

「理解をはっきりと言うまで離さない」

『じゃあそのままで良いです』

「それも嫌」

『駄々っ子ですか?』



端から見ればどっちが年上か分からない状態に桃太郎は呆れ顔をした。

それでもなお、教えてとせがむ白澤に夜は、無視を決め込んでいたがそろそろ限界が来たのか椅子から立ち上がった。



「うおっ!!痛っ」



夜に抱きついていた白澤はいきなりの行動に体をぶつけたようだった。



『今更恥ずかしいじゃないですか…名前呼びなんて』

「えっ…」


一瞬その場の空気が止まり夜は自分が何を言ったのか理解したのか顔を赤くした。

そんな夜を見て白澤も自分の顔が赤くなるのを感じた。



『っ!!ちょっと薬草摘んで来ます!!』



そして、空気に耐えられなくなったのか夜は、外に飛び出した。



「あの、白澤様?大丈夫ですか?」



いまだに固まったままの白澤に桃太郎が近づくと彼もまた飛び出して行った夜と同じ顔をしていた。



「どうしょう桃タロー君…うちの娘が可愛すぎてヤバイ」

「そうですか…」



桃太郎は、何なんだ子の人たちはと思いながら一日を過ごしたとさ。




呼び名について
(白澤さ…絶対に言えない!!)




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