短編
□雪の女王
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(…なんか気に入らない)
『えっ』
「名無しさんは僕と行くからお前は来なくていい!!」
『神獣様!?』
白澤は、名無しさんから携帯を奪い取ると、強い口調で言ってから電話を切った。
それから、名無しさんの方にバッと振り返った。
『!?』
「名無しさん」
『あの…神獣様?』
「準備してて、直ぐに戻ってくるから!!」
それだけ言うと白澤は、名無しさんの携帯を持って今までにないくらい早く店を飛び出して走って行った。
『準備って…一緒に行ってくださるってこと、ですよね?』
《何を着ていこうか》
名無しさんは、自分の顔が赤くなったのにも気付かないくらい気分が高揚していた。
「じゃあ行こうか」
『神獣様その紅葉…』
「気にしなくていいよ」
戻ってきた白澤は、右の頬に真っ赤な紅葉マークを付けて戻ってきた。
何も気にしなくていいと言われたが、流石に気になったので名無しさんは冷蔵庫から湿布を取り出して張った。
「ありがとう。じゃあ行こうか」
『はい!』
二人は現世に行っても可笑しくない服装で現世までの門に歩いていった。
門で牛頭と馬頭に色々聞かれたが何とか振り切って現世に来た二人は既に少し疲れていた。
『現世も久し振りですね…また人が多くなったような気がします』
「そうだね、人酔いしそう」
『じゃあ早く行きましょうか』
「うん」
二人は近くの映画館に入りチケットを買った。
開場まで後10分あったので白澤はトイレに行ってくると言って行ってしまった。