K 短編
□ありがとう・・・。
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ただ呆然としていた。
目の前で怒った出来事をまだ受け入れられない。
尊が手を広げている。
その横顔はどこか寂しさと嬉しさが入り混じっているように見える。
「み、こと・・・」
思わずそう言ってしまった。
なにか嫌な予感がした。
「っ!」
「・・・」
いつもの冷静さを無くし、驚いてこっちを見てくる宗像さん。尊は顔色一つ変えずゆっくりと私の目を見た。
「キラ、俺には一つ悔いがある。それをお前が叶えてくれ」
「なに・・・?」
静かに目を閉じると前に向き直り、私にこう言った。
「付き合ってくれ」