*小さな御伽噺*

□水もしたたる?
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本日はリュウタ主催のデンライナーin水鉄砲大会、本来ならハナちゃんや良太郎も誘って開催するはずだったけど二人とも用事があると停車した直後あわてるように下車していった
今日の気温は29℃だから熱中症なんかにならなきゃ良いけど

昼行灯で水鉄砲の弾となる水を補給させていると首筋に冷水が直撃、女らしからぬ悲鳴が車両に反響して五月蠅い

「よっしゃああああ!やるぜやるぜええ!」
「ちょっと待ってよおお!水補給してないんですけど!」
「先輩ってば大人気ないんだから…あ、中身子供だから仕方がないか」
「んだと、この亀!」

一触即発な雰囲気を一早く感じ取り抜き足差し足で二人の間から脱出した途端二人が鉄砲を駆使した水合戦を早速始めている、私達が使っている水鉄砲はリュウタの物で色は違えど形はやや大きめの同じタイプ

水を十分に補給し、いざ水戦だと意気揚々に振り返ると顔面に水直撃。鼻孔に水が進入して何故だか中学の頃授業にあったプールが思い出された

「不意打ちとはやるねリュウタ!よーし…、返り討ちにしてくれるわー!」
「向日葵の事倒していいよね?答えは聞いてないけどっ」

顔を濡らす水を手の甲で拭いお互い水鉄砲を構えたら合戦開始の合図、ひょいっと近くにある固定椅子へ跳躍しながらリュウタに向かって打つも安易に避けられ代わりに彼が打ってきた水が服を濡らす、反射神経が乏しい私にとってこの戦いはかなり不利だと思うんだ

最早逃げ回るだけ、わーきゃー叫んでリュウタと食堂車を駆け回っていれば違う方角から水が飛来し吃驚して足を止めると突然の停止に追い付けなかったリュウタが背後から激突する

どうやらモモとキンちゃんが襲撃してきたみたい、ウラは全身ずぶ濡れで水の補給をしている

「次は向日葵をやるぜ!おい熊公、しっかり狙えよ」
「分かっとる、すまんな向日葵…許してくれ!」
「じゃあ僕も僕も!」
「なんで狙い撃ち!?ちょ、ウラ助けて!」

三人の標的に私がロックオンされたら絶対勝ち目がない勝利の近道があるとすれば風呂場の蛇口にホースを付けてそれで攻撃するくらいだろう、三人から一斉攻撃を受ける前に藁にも縋る想いを胸に振り返る
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