短編*夢

□ねえ
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『ねえ、イルミさん』



「ん」



『少しは構って欲しいんだけど…』



「ん」



『イルミさん、ねえ』



「んー」



『ねえってば』





イルミさんの部屋にて。

イルミさんはベッドの上で、上半身を壁にもたれかけさせ、座って本を読んでいる。



私はというとひんやりとした床の上でイルミさんに駄々をこねていた。





『ねえイルミさん床冷たい』



「ん」





私が何度声をかけてもこの有様。
私はとうとう耐えきれなくなり、ベッドの上に上がった。



そしてイルミさんの足の間に入ってやった。



それでもイルミさんは本に目を向けたままで。



イルミさんがこっちを向いていないものの、私はなんだか真っ正面からイルミさんと向き合うのが恥ずかしくなった。



こんな美形真っ正面から見れないって///



私は180°回転して、イルミさんのお腹にもたれ掛かった。





するとイルミさんがついに口を開いた。



「本、読みづらいんだけど」



『もう十分読んだでしょ。いい加減構ってよ』



「はあ…」



イルミさんは溜息をつくとやっと本を閉じた。



背後のイルミさんがどんな顔をしてるのかはわからないけど、やっと構ってもらえると思うとちょっとにやけた。



イルミさんは私の髪をいじり始めた。



『お、セットしてくれるの?』



「うわ、枝毛あるよ。ちゃんとケアしてる?」



『美容師かあんたは』





それならあんたはどうなんだと私は後ろにぐっと手を回して、イルミさんの髪の毛を掴んだ。



イルミさんの髪の毛は私の顔の前に持ってこれるほど長かった。



『わ、すご、私の髪より全然長いや』



「あんまり乱暴にしないでよ。髪は命だからね」



『女かあんた』



「さっきも同んなじようなツッコミしてたね」



『…』



「ナマエ?」



『…』



「ねえ」



『…』



「ねえってば」





ツッコミが同じって、イルミさんが私の言ったことをちゃんと気に留めててくれたことが嬉しくて、ついつい私はにやけてしまった。





『…』



「ねえ」





最初と立場が逆な気がするけど…。



ねえ、これからはもっとちゃんと構ってよね?イルミさん。










「何1人でニヤニヤしてんの気持ち悪」



『うるせえええええええええええ』





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