勇者達の翌朝(新書)

□0.融合の終わり
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0「融合の終わり」

暗いのか明るいのか、秩序なのか混沌なのかわからなかった。
「こうして、さし向かいだと、おかしな気分だけど」
ホプラスは微笑んでいた。
「貴方には、きちんとお礼を言いたかった。」
俺は驚いた。お礼どころか、彼の若すぎる死の原因は、俺にあると言ってもいい。恨まれこそすれ、礼なんて。
「俺と一緒に、できるかぎり、ルーミの側にいてくれたでしょう。彼が寂しくないように。」
「こら、子供扱いするなよ」
別の気配が、俺たちの側にあった。ああ、ルーミだ。
「でも、俺からも言わせてもらうよ。ありがとう。ホプラスだけだったら、あんなにうまくはやってのけられなかった。」
二人は、少し笑った。笑う気配を感じとった。
笑い声は二人ではなかった。ディニィ、エスカー、キーリ。二人にとって、そして俺にとっても大切な仲間たち。
だが、そこには三人足りなかった。ラール、ユッシ、サヤン。彼等の気配だけはない。
「彼等はまだ、その時じゃないんです。」
エスカーが少し残念そうに言った。ああ、そういうことか。
「名残りおしいけど、そろそろ行かないと、行けません。あなたは、やっぱり、一緒にいけないのですね?」
ディニィの柔らかな気配が俺に触れた。そのとおりだった。俺は、お前達と同じところにはいけない。
「寂しいけど、仕方ないですね。僕達と違い、貴方には、まだ役割がある。」
静かなキーリの声が、頭に響いた。彼等の気配が遠ざかる。
「あの人達をよろしく」
「あの子達を頼みます」
「ありがとう」
「いつか、また…」
俺は彼等を引き留めたのだろうか。遠い光の中に吸い込まれる気配。
闇が広がる、それも一瞬、
「やった、成功よ」
かんだかい連絡者の声と共に、俺は光の中にいた。

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