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『現世に出現した虚を退治すること』

これが、今回の任務だった。
内容は至って簡単なもの。
ただ足り無かったのは運。

「一護、後ろ!!崖だ!!」

輝く銀髪を翻して振り返る。
翡翠の目に映ったのは足場を無くし、宙に放り出される一護の姿だった。

「一護っ!!!」

冬獅郎が手をのばすも、その手は空を掴む。
生い茂る緑の中に一護の姿は見えなかった。
小さく舌打ちをして、襲ってくる虚を弾き返す。
噛み締めた唇は切れ、血が流れていた。

「貴様のせいでっ…!!!」

冬獅郎の霊圧が一気に上昇する。
思わず後退する虚の目の前まで迫ってきたものは、氷輪丸の刃先だった。
ずしゃっ、という鈍い音が響くと同時に辺りに赤が飛び散る。
頬に流れる血を拭いながら崖の方へと目線を向けた。
すると、一歩を踏み出そうとした冬獅郎の体に衝撃が走る。
薄れ行く意識の中最後に聞こえたのは、

「唸れ、灰猫!!」

という部下の声だった。
















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