NARUTO【テンカカ】
□『特別』な人
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(僕はあなたの『特別』になりたい)
いつからだろうか。カカシへの想いが『先輩』として慕う気持ちから『好き』という感情に変わったのは。
「・・・んっ」
テンゾウはカカシの口布を下げ、あらわになった首筋に舌を這わせる。
独占欲から痕をつけるように強く吸うと、カカシの口から吐息が漏れた。
「・・・テンゾウ、痕けられるのヤダっていつも言ってるでしょ」
「見えない所ですから、問題ありませんよ」
「問題ないって・・・あっ、ちょっ、テンゾウ・・・、んっ」
反論するカカシだったが、首筋から舌を這わせて耳朶を口に含まれると、言葉を続けられずにいた。
そんなカカシに構わず、耳朶から舌先を耳の奥に忍ばせると、舌の濡れた感触にカカシは息を詰めた。
「・・・っ」
テンゾウは幼い頃から他人に興味を持てず、誰かに心を開くことより一人で居ることを無意識に選択していた。
それは忍になってからも変わらなかった。
自分の存在意義を見出せないまま、与えられた任務をこなすだけの日々を過ごしていのだ。
そんなテンゾウの心境が変化したのは、カカシと関わりを持つようになってからだった。
カカシは人目を引く容姿に加え、忍としての実力も兼ね備えており、暗部内でも一目置かれる存在だったが、テンゾウにとって最初はその他大勢の『先輩』に過ぎなかった。
暗部に配属されてしばらくして、カカシと言葉を交わすようになり、任務を共にする機会が増えた。
相手に関わらず一定の距離を保つことが当たり前だったテンゾウだったが、カカシの持つ忍としての才能に惹かれ始め、自分から接点を持つようになっていた。
そして気づいたときには視線の先でカカシの姿を追うようになっていたのだ。
「先輩、ほんと、ココ弱いですね」
テンゾウはわざと耳元で囁いた。
「んぁっ・・・、テンゾウ・・・」
テンゾウの中に初めて芽生えた感情は、大きな存在となっていったが、他人と距離を近づける術を知らないが故に対処に困っていた。
そんなテンゾウの気持ちを見透かしたように、カカシから任務内外でテンゾウへ接点をとるようになり、一緒に過ごすことが増えていった。
最初の頃は一匹狼同士が一緒にいることに周りは驚いていたが、今では一緒にいない日が続くと『喧嘩でもしたのか』と聞かれるほどだ。
「・・・嫌ですか?」
腰を引き寄せ、カカシの顔を覗き込む。