NARUTO【テンカカ】

□『特別』な人
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今までテンゾウ自身、自分から何かを欲しがることはなかったのに、カカシのことになると全てが欲しいと言い切れる程、カカシが特別な存在になっていた。
初めて好きになった人なのだから当然といえば当然ではあるが、いつかカカシにもそう思って欲しいという願望が強くなっている。

「・・・そう見える?」

カカシはテンゾウを挑発するようにそう口にした。
そろそろ寝る準備でも始めようかと思いながら、リビングで寛いでいたところに、任務を終えたカカシがやって来たのがつい先ほどのこと。
約束せずにいきなりやって来て、テンゾウの都合はお構いなしなのもいつものことだった。

『気持ちいいことしよう』と言った後、いきなりテンゾウの膝に跨ったのには少し驚いたが、好きと自覚している相手を目の前に断る理由は見当たらない。

「いえ、敢えてあなたの口から聞きたかったんですよ」

テンゾウは囁きながら、カカシの首筋に新しい痕をつける。
好きなのに身体だけの今の関係。といってもテンゾウは、心が通じ合ってから身体を繋げたいという思いがあるので、身体を繋げるのではなくカカシを気持ちよくさせることにいつも徹するのだ。
したいキスも毎回我慢する。据え膳状態にも関わらず耐えるのだ。
好きな相手にそこまでするには他の理由もある。

元暗部であれば、通常の任務と暗部の任務を交互に行う者もいるが、カカシほどの忍となると、暗部の任務はランクが高くなる。
人を殺める数もランクに比例する。
任務後の興奮を鎮めるために、手っ取り早いのが性欲で解消することだ。テンゾウも元暗部だから理解できる。

テンゾウが断れば、カカシは平気な顔をして別の誰かの元に行くだろう。それは容易に想像できる。
そうなる位なら身体だけの関係だとしても繋ぎ止めたいという気持ちの方が強かったのだ。

カカシと関わりを持つようになりずい分経ち一緒にいる時間が増えていたが、今の関係になったのはつい最近のことだ。
きっかけはカカシに直接聞いてみないとわからないが、男女問わず相手に困らないカカシが、誰かに身体の繋がりを求めているときに、テンゾウの元にやってきただけでも最初は嬉しい気持ちもあったのだ。


だが、最近はそれだけでテンゾウの心は満たされなくなっている。
カカシがテンゾウに身を委ねているということだけでも、他の人より近い距離にいると分かっているが、カカシの一番の人になりたいと強く願っているからこそ、本音が知りたい。

「ぁっ・・・」

カカシはテンゾウの触れた箇所から広がっていく熱の心地よさに肌を上気させている。
普段見せないその表情をこれからは独占したい。
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