NARUTO【テンカカ】

□愛しのアナタ
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◇◇◇◇


明日は久しぶりにテンゾウと休みが重なった休日だった。
任務を終えたカカシは火影へ報告を済ませると、寄り道せずに真っ直ぐ自宅へと向かった
以前はカカシがテンゾウの家を訪れていたが、ここ最近はテンゾウがやってくる事が多く、てっきり今日も家に上がって待っているだろうと思っていた。

カカシは久しぶりに会う恋人の姿を期待して帰宅したが、テンゾウの姿はなかった。
柄にもなく落ち込んでいる自分の気を紛らわすために、帰宅早々にシャワーを浴びてみたものの、やはり部屋にテンゾウの姿はなかった。

「今日は来ないかねぇ」

任務内容によっては長引く事もあるし、テンゾウにだって付き合いもあるだろう。
そもそも会う約束をしているわけではないのだから、テンゾウが居なくても当然といえば当然なのだが。

「・・・らしくないなぁ」

リビングで寛ぎながらテレビを眺めてポツリと呟く。
今までは気が向いた時に会って、人肌が恋しくなったら身体を繋げる、それの繰り返しだった。
相手がそれ以上を望んでも応える事はしなかった。
カカシにとってはその関係で充分だったのだ。誰も縛らず誰にも縛られず、一人でいる事に慣れていたはずなのに―――。

ビール片手に考えるのはテンゾウの事ばかりだった。

『先輩』と慕ってくるテンゾウの存在は心地良かったし、カカシに先輩以上の好意を抱いていると知っていても、
それに自分の気持ちが傾いていると気付いていても今までと変わらない関係を続けていくつもりだった。

だけど――、テンゾウが怪我を負いベッドに横たわる姿を目にした時、カカシを置いて逝ってしまった大切な人達とその姿が重なり、
後悔したくないという思いから蓋をしていた自分の気持ちをテンゾウへ告げたのだ。
それ自体は後悔していない。

(最近、休みのたんびに入り浸って、先輩先輩って寄って来るもんだから、いないとなると・・・物足りない)

付き合い始めてからのテンゾウは、二人でいると熱っぽい眼差しを向けてきたり、やたらと距離を近づけてきたりと、
今までとは違った一面を見せられ、カカシ自身対応に困っていたことは認める。
『後輩』から『恋人』となった以上、テンゾウも身体の関係を求めてくるのが自然の流れで、拒む理由はない。
だが、いざそういう雰囲気になると気恥ずかしさが勝ってしまい、先輩権限を使ってなんだかんだとあしらってしまうのだ。

(それがいけなかったのか? だいたいさー、オレが本気で嫌なら何度もそんな雰囲気になるわけないのに、なんで気付かないかなぁ)

テンゾウと付き合い始めてから約二ヶ月が経とうとしているが、進展していない関係にやきもきしているのはなにもテンゾウだけではないのだ。

(・・・付き合う前の方が関係は濃かったねぇ)

明日は休みと告げていたにも関わらず、深夜の時間になっても姿を現さない恋人を思い浮かべてカカシはため息をついた。
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