NARUTO【テンカカ】

□『特別』な人
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「・・・今のままでいいじゃない」

しかしカカシにテンゾウの思いは通じていなかった。

「いや、今のままじゃ物足りないな。ちゃんとエッチしたいし。もちろんキスもね。ってか何が不満なのよ」
「何がって・・・」

身体だけの関係、と言いかけて口を紡ぐ。
誘われて断らずにずるずると今の関係を続けていることに対しては自分にも非がある。

「・・・僕はまだ、カカシさんの『特別』になれてないんですね・・・」

先輩と後輩以上の関係でありながら、それ以上をカカシは望んでいなかったのだ。
距離が近づいていると思っていたのはテンゾウだけだったのだろうか。

「何よ、『特別』って」
「・・・なんでもありません」

重苦しい雰囲気の中、テンゾウから返ってきた言葉を鵜呑みにしたカカシは、その場を払拭するような明るい声で口を開いた。

「んじゃ、続きしよっか」
「え? ちょっと待ってください。まだ話は終わってないです!」
「さっきも言ったでしょ・・・」
「嫌です。僕は今の関係は」

カカシに流されないよう、テンゾウはハッキリと言う。

「・・・と言われてもね」

困り果てたカカシだったが、答えが変わることはなかった。

「無理なもんは無理」
「どうしてですか?」
「だから、オレは手っ取り早く気持ちよくなれればいいの」
「そんなの・・・辛いです」

話を続ければ続けるほど、テンゾウの心はずたずたにされる気分になる。

「・・・面倒なもんはしょうがないでしょ」

嫌いじゃないけど、恋人として付き合うほどの気持ちはない。
感情の面倒なやり取りが一切なく身体を満たしてくれる人。
そんな割り切った関係を続けていたカカシにとって、今も望む関係に変わりはなく、テンゾウが求めている関係とは間逆の状態だ。

「面倒とか言ってますけど、・・・本当は目を背けているだけじゃないですか・・・?」
「はぁ?」
「僕だけのことじゃありません。誰に対しても適度な距離感を保つことで、感情を向けない代わりに、自分からも踏み込まないようにしているように見えます」

そう言い切るテンゾウの言葉にカカシは少しだけ胸が痛んだ。
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