NARUTO【テンカカ】
□だって、好きなんだもの
2ページ/8ページ
◇◇◇◇
ピンポーン、とチャイムの音が聞こえてきてオレは目を覚ました。
「・・・ん」
まだ眠り足りなくて布団の中でもぞもぞしてたら、チャイムの音は止むどころか何度も鳴り続けている。
ついでに玄関のドア越しにオレを呼ぶテンゾウの声も聞こえてきた。
「もうこんな時間か・・・」
時計の針はお昼を少し回った時刻をさしている。
つまりはテンゾウと会う約束をしていた時間帯ということだ。
だからと言って急いで起き上がる気も起こらず布団に包まっていた。
昨日は、一人で酒盛りをして酔い潰れる様にして明け方眠りについたから、全然眠り足りない。
このまま居留守を使いたいなんて考えが頭を過ぎる。
ま、無理って事もわかってるんだけどね。
「・・・失礼しますよ」
数回呼びかけてもオレが出てこないもんだから、合鍵を使ってテンゾウが家に上がってきた。
「うわっ」
いきなりテンゾウの叫び声が聞こえてきた。
なんだ?と驚いたけど、そういえば昨日というか明け方リビングを片付けないまま寝ちゃったことを思い出した。
「・・・まずいな」
記憶が曖昧だけど、酒瓶とかビール缶とか封の開いたつまみや飲みかけのビール缶とか、色んなものを床やテーブルに放置したままだった。
そりゃ驚くか。物自体があまりないリビングに足の踏み場がない程散らかってたら。
「・・・なんでこんなときに家に上がるかなぁテンゾウってば。違うか、オレが無視したからか」
そんな事を考えながら一人でぼそぼそ呟いていたら眠気はなくなかってきたが、ついでにベッドから起き上がる気力もなくなってしまった。
昨日、一緒に居れたら今日の目覚めは今の数倍良かったのに。
「はぁ・・・」
ため息をついても沈んだ気持ちは浮上してこない。
部屋に上がったテンゾウはドアの向こうのリビングで、窓を開け空気の入れ替えをしながら、散らかった部屋を片付けているようだった。
「っと、今日は掃除をしに来たわけじゃないんだ」
しばらくして、そう口にしているテンゾウの声が聞こえてきた。
「先輩、帰ってきて寝たのかな?」
午前中に里に戻ると伝えていたのに寝室にいるのはおかしな話だ。
テンゾウに変な勘ぐりをされる前に、急いでベッドから身を起こした。
「カカシ先輩?」
ゆっくりと開いたドアの向こうからテンゾウが姿を見せた。
「寝てたんですか?」
「ん、悪いねぇちょっと時間があったから一眠りしてたところ」
当たり障りなくそんな返答をしてみる。