NARUTO【テンカカ】
□家族
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「・・・っと、あれ? 先輩? 明かりも点けずにどうしたんですか?」
玄関の鍵を開け明かりを点けたテンゾウは、部屋に上がっているカカシの姿を見つけると、嬉しそうな顔を向けた。
「おかえり、テンゾウ」
急に明るくなった部屋に眩しさを感じながら、テンゾウにつられて笑顔で答える。
「今日僕任務って伝えてませんでしたっけ?」
テンゾウと付き合っていてもうすぐ二年になろうとしている。
お互いの家を行き来しているため、カカシが居てもそう不自然には思わなかったのだろう。
任務が重なれば会えないことも多い。
こうしたちょっとの時間でも一緒に過ごせることは二人にとっては必要だった。
「ん、聞いてたけど、ちょっと・・・、話したいことがあったから待たせてもらったよ」
恋人の姿を目の前にすると、告げようとしていた言葉はすぐに口から出すことは出来なかった。
「話しですか?」
「そう」
返事をしたものの話を切り出せずに黙り込んでいると、いそいそと買い物袋から食材を取り出しながら、
何作ろうかななんて言いながら楽しそうにしているテンゾウの姿がカカシの目に映る。
「夕食まだですよね? 僕もまだなんで、今から簡単なものですが作りますね」
「・・・・・・」
いつもなら手料理を振舞ってくれる事を喜んだり、
食べたいものをリクエストするカカシだが今日は黙ったままだ。
テンゾウはカカシの様子が気になり視線を向けた。
「カカシ先輩?」
テンゾウの手料理が食べたくないわけじゃない。
その後に話を切り出してもいいんじゃないか、とそんな考えが一瞬カカシの頭を過ぎった。
ただ、そんな風にテンゾウと過ごしてしまっては何も言えずに終わってしまうことも想像できた。
カカシは決心が揺らぎそうになるのを堪え、きゅっと手を握り締め口を開く。