小説:ランダム短編→2

□3月4日
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ふわふわの髪の毛の下に、同じきれいな色のキャラメル色の目があって、私と目が合うと、少しだけきらめくのを知っていた。



「ツナ君、進路は決めた?」
「京子ちゃん」

驚いたように見上げてくるから、にこりと笑いかけて、ツナ君の机の上にある進路調査の紙を見る。
2年の終わり、あと少しで3年生だ。また同じクラスになれたらいいなって、ひそかに思ってる。

「……決まってるけど……」
「すごい!!私、第一志望は変えたくないけど、他がまだなの」
「京子ちゃんだってすごいよ。俺なんか他の人に言われてっていうか、なんていうか…」
「他の人…?」

きょとんと見返すと、「あ、いやその」と手をわたわたと振る。「どーしたんですか10代目」と獄寺君がやってきた。あーあ。

「ね、ツナ君も並高?」
「あ、うん。そうだよ。担任の先生には無理だって言われたけどね…」
「無理じゃないよ」
「無理なんかじゃないッスよ!!」

獄寺君が割り込んで、「担任のヤロー」と息巻くのをツナ君が止める。山本君も来た。花もやってきた。なんかいつものメンバーになっちゃった。

「京子ちゃんなら女子校とかいいところ行けるのに」
「ううん、やっぱり近いし」
「了平さんも行くしね」
「そう」

お兄ちゃんは私には関係ないけど、両親には決め手かな。でも、ツナ君だってそんなもんでしょ?

「獄寺君も山本も、推薦でいいとこ行けるからさ、志望校はまだ変えても…」
「いいえ!!右腕たるもの10代目と同じ学校でなくては!!」
「ハハ、俺も右腕は同じ学校がいいのなー」
「いいこと言うな野球バカ!!」
「てめーは大学付属にでも行けばいーじゃん。右腕は俺がやっとくし」
「!!!!!!」

男の子は仲がいいなぁ。

「もう!!山本も体育推薦あるんだからさ、もっとしっかり野球出来るとこに行けばいいのに」
「並高だって、しっかり野球出来るさ」
「でも」
「過去はどうでもいーの。来年からヒバリがいて、甲子園くらい行かないハズがないのな」
「ひっ」

引きつった声は、悲鳴なのか名前なのか、どっちだろう。

「だからさ、また皆で並高に通えればいいな」
「……そうだね」

へにゃりと笑う顔は柔らかくて優しくて、空気を温める。
目が合うと、少しだけ見開いて光を放って、柔らかく伏せられる。
それをうずうずする気持ちで見るのは私だけじゃないのを知っている。

「……てめーがまとめるな、このバカ」
「獄寺はいなくてもいいぜ?」
「ヤロー!!外に出やがれ!!」
「わー!!止めてよ獄寺君!!」

興味を引きたくて喚く右腕さんに、小さくため息。

「どうしたの?京子」
「花」

なんでもないよ、と首を振ると、後で聞き出す!!とニヤリとされた。じゃあ、後でね。




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