小説:ランダム短編→2

□唯一無二プレゼント
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例えば英語なら、聞いたらなんとなく意味がわかるのな。ただし書けないけどさ。
フランス語だったら、聞いたことあるようなないような、フランス語ぽいなーってくらいはわかるような気がする。やっぱり意味はまったくわからないけど。

イタリア語って、なんかあったっけ?
ピザとスパゲティ?って、英語じゃねーの?
チャオっていうのが挨拶なのは小僧が使うから知ってる。
後は丸っきり知らないらしい。
ハハ、ヤバいんじゃね?
そんなことを小僧に相談ってほどじゃないんだけど言ったんだったな。
それを受け取って、そんなこと思い出した。


「山本。誕生日おめでとう」
「おー、ありがとうな、ツナ」
「プレゼント。ケーキは母さんが作ってくれるからさ、俺はクッキーね」
「ありがと。うれしいぜ」
「どういたしまして。3日くらい持つから、後で食べてね」
「ああ、大事にする」
「いや、食べてね?」

ツナは守護者とかの誕生日に料理を作る。
俺以外は皆金持ちだから、ツナがプレゼント出来るようなものなんて必要ない。とかなんとかイヤミを言ったあまのじゃくがいたせいで、ツナが悩んじまった。だったら、ツナのお小遣の範囲で用意出来て平等に分け与えられて後の問題にならないことってんで手料理になった。
俺は、寿司でパーティーしてもらえるから、絶対にかぶらない洋菓子だ。今年はクッキー。去年はケーキだったけど生クリームじゃなくてマドレーヌみたいなやつでレーズンとか入ってるやつ。甘くて美味しかった。
獄寺は夕食だったらしい。ヒバリさんも。
後は知らない。
本当は永久保存くらいしたいけど、カビてしまうくらいなら美味しく食べた方がツナが喜ぶ。だから美味しく食べる。

「でさ。これはリボーンから」
「ん?」

手の平大のひらべったい箱を渡されて、首を傾げる。なんで後でパーティーの時に会うのにツナに渡させるんだ?
ツナが中味を気にして、開けてみてよと目をキラキラさせる。
俺も気になるから、うなずくと包装を破く。
中からは、某DSみたいな二つ折りのプラスチックの長方形の機械。開いて「あ」と声がハモる。

「電子辞書だ」
「ツナ、よくわかったな」
「うん」

実は、横目で取説見て俺は気付いた。あまり目ざといとはいえないツナが同じ芸当が出来るわけがない。

「だってそれ、俺とおそろいだもん」

日伊と英語も入ってるから学校の英語でも使えるよ、なんてうれしそうに笑う。

「使い方はリボーンのスパルタでねっちょり教え込まれたからさ、わからなかったら聞いてよ」
「おう」

おそろい。
むず痒くなるような響きに、笑いだしたくなるが耐える。
だってこれ、獄寺やヒバリや六道や他のヤツには必要ないから、俺とツナだけじゃないか?
(笹川の兄さんは電子辞書を使うのが想像出来ないし)
うれしくて笑いだしたくなるのを耐える。

「じゃ、せっかくだから、最初から教えてもらってもいい?」
「え?いいよ!!じゃ、まずこれが電源ね?」
「おう」

最初は何調べてみよっか、なんて聞いてくるが、最初なんて決まってる。

「ツナ」
「何?」
「綱吉って引いてみようぜ」
「あ、徳川綱吉ね」

アハハと笑う。ツナにツナを引いてもらうなんて、贅沢じゃん?
が、ツナは笑いながらさらに付け足した。

「俺も最初に調べちゃったよ」
「おそろいなのな」
「うん。時雨蒼燕流も調べたけど、載ってないね」



辞書の履歴にツナと並ぶ名前。
夜中に取説片手に履歴をまた見て、なんだか無性にうれしかった。



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ビミョー。
「特別」になりたいのは山本もだからね。

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