小説:ランダム短編→2
□STOCKHOLM〜
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……STOCKHOLM……20090305
沢田綱吉が、9代目の実子を降して10代目候補になったのは14歳の秋だった。
当時体調を崩していた9代目だったが、10代目候補の年齢と経歴が考慮され、しかるべき教育を受けた後20歳で10代目を継ぐことと、ボンゴレを支える幹部たちは決めた。
6年。
例えば、生まれたばかりの赤子が読み書きを覚え自我が芽生え始める程の。
例えば、自我が芽生えたばかりの幼児が己を確立した少年となるほどの。
そんな長い月日が、設けられたのだ。
10代目候補は、XANXUSの脅威にさらされることなく、ーーー増えた。
沢田綱吉は、唯一の10代目候補ではなくなった。
しかし彼は、10代目にしかなれない教育を受けていた。
優れた血統と素晴らしい潜在能力。人としての通常能力が平均以下であるため、ボスとしてしか使えない人間。
使えず、殺せず。飼えず、野に放せず。
知りすぎた人間は、幽閉するしかない。
ならば、幽閉している囚人に宛がうといいかもしれない。
……ちょうど似合いの囚人がいるではないか。
かの、六道 骸、が。
いつまでも10代目候補から転落させられず、消せない理由でもある、あの囚人の元に置けばいい。
それが双方共に、納得するだろう。
毒を持って毒を制す。
あの、毒でしかない六道骸を、毒となった沢田綱吉で押さえ込みさえすれば、
望まれた、我等の10代目による素晴らしい御代が、
実現するのだ。
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