小説:ランダム短編

□迷いの森
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※かなりパラレルでマモツナ。




手を引きながら、森を行く。
幻術と特殊弾と、どちらの呪いの方が強いのか。
または血の呪いと、どれが1番強いのか。
執着と比べたら、1番はどれだろう。


執拗に追いかけてくる、一瞬だけ仲間だったことのあるオレンジのおしゃぶりの赤ん坊は、コレに執着しすぎている。
価値はある。
価値を証明したのは自分だ。
そのための対価を払って、ザンザスから手に入れたのだ。
自分が所有するこの子供をどう使おうが、今は敵でしかない赤ん坊に文句を言われるいわれはない。

「……マーモン」
「黙ってて」

霧を練り込んで、いくつものダミーを生み出し放つ。
時間を稼ぐためなら、集中しなくちゃいけない。
腕の中で身じろぎする子供に雑念を抱かないために、ぎゅっと抱きしめて動きを封じる。

「黙ってて、ツナヨシ」
「うん」

舌っ足らずな返事の後に静かになる。
鼓動と熱い息遣いが体越しに伝わってくる。
ーーーうるさい。
黙れと言いたいのは、自分の鼓動。
ーーー止まってしまえ。


「……行くよ」
「うん」


小さな手を引く。
血の呪いが力を得る前の姿、能力が封じられた姿にまで退行したツナヨシが、力強くうなずくと見上げて来た。

呪いを解くことが出来た自由を得た自分が、この子供に捕われている。
力を無くした子供を守るなんて、金にもならない。

無償の愛なんて喜劇だ。
無償で得られるものなど何もない。
ツナヨシといるのは、金で得た存在だから。
なくしたくないのは、それだけ高い買い物だったから。
その金を貯めるためだけに、あの日から金を貯めていたのだから、あの日からの全てであった金が、
ツナヨシにとり代わった。

金が全てだったのが、ツナヨシが全てになっただけ。
それだけのこと。
気にすることじゃない。

「マーモン、こっち」
「超直感?」
「……たぶん」

まだ不安定な年齢だとわかっていながら、信じる自分がいる。
違和感を、また押し殺す。

小さくなったツナヨシ、大きくなった自分。

依存しているのは、きっと、自分。
手を引かれているのも自分。

すがるように、握った手に力を籠めた途端に、ツナヨシが木の根に足を引っかける。慌てて崩れ落ちそうな体を支える。

「しょうがないね、ツナヨシは」
「ごめんね、マーモン」
「しょうがないね」

深い森はどこまでも続く。
霧は晴れない。
いつまでも、晴れない気持ちのままできっと一緒に居続けるんだと、

そんなことで安心した。



=============

ツナヨシがちびっこである意味がねぇ…。

一応、リボーンの特殊弾で能力封じられたチビツナと、
ツナによって呪いを解いたマーモン。

……指輪戦でヴァリアー勝利が前提だなんて、どこまでもパラレルしまくりました。

最近、誰をもぶっちぎってる私。
いつものざれ言です…。捨て置いてください。

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