小説:ランダム短編→2

□小さいことはいいことだ。
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ひたすら小さいことはいいことだと言ってみる←題。




リボーンの特殊弾で4歳の体になってしまった綱吉。
(以上、説明終わり。)
幸い、10年バズーカのように入れ代わってしまっているわけではないのだが(そういえば獄寺はどうだったんだろう、あの図体の4歳児はポイズンクッキングよりトライデントモスキートにより抹殺されていそうだが、無事だからなんとか生き延びた模様)、綱吉は安心どころか大変なことになっていた。

「ああ!!しまったでござる!!」
「ああ、じゃねぇーーーーッ!!」

空港にこだまするボケとツッコミの声。
前者・ボンゴレ門外顧問のバジルに反射的に幼い声でツッコミを入れる綱吉。

「手荷物でラル殿を持ち込もうとしたら、まさか間違えて綱吉殿を持ち込んでしまうとは…」
「なんつー説明ネームをありがとうバジルくん。ところでここはどこかな?」
「詳しくは申し上げられないでござるが、イタリアのとある空港でござる」

道理で空の色が並盛と違うと思った。
綱吉は遠かった目をさらに遠くまで向ける。このまま地元まで見えてしまう勢いだ。

「綱吉殿を拉致しようとしたラル殿を、止めるつもりが、まさか拙者が綱吉殿を拉致してしまうとは…」
「……うんわかった。それで、どれくらい経ってるの?」

そういえば、ラルが部屋に乱入してきてから記憶がない。バジルだってここ最近ご無沙汰だったのに、開口1番が「拉致してゴメン」じゃ、流されるままの浮草人生のままガンガンイタリアに向けて流されてる真っ只中の綱吉でも困る。
困るとしか思わなくなった時点で、高すぎる順応力を呪うべきだろう、六道骸バリに呪ってもたぶん誰も責めない。

「12時間くらいでござる」
「じゃあ、日本は今、夜かな」

心配してるだろう居候先の山本に電話を入れるのは後にしようかな。
そんなことを冷静に考えながら、体が浮遊するのを感じる。
山本のバッグの中からバジルのリュックの中に移動していた綱吉は、慌ててバジルの首にしがみつく。

「危ないって!!」
「大丈夫でござるよ」
「大丈夫じゃないから言ってるの!!」
「綱吉殿ならこのくらいの高さなど…。二人で落ちては登ったあの崖が懐かしいでござるなぁ」
「いや、懐かしいっちゃあ懐かしいけど、そんないい思い出じゃないからね!!それに、リュックしょわないでよ!!怖いから!!」
「え?」

バジルは振り返った。
綱吉は背中で遠心力と戦った。
山本の高い高いも怖がったが、このまま崖降りくらいやらかしそうなエセ忍者のが怖い。
だが、ここはイタリアの地。イタリア語が話せない綱吉には、このバジルが命綱だ。しがみつく以外の選択肢はない。

「綱吉殿っ!!」

素早く引きはがされ、ひしと抱きしめられた。
保護欲を刺激されたらしいが、綱吉は目を回し終わったところだったので喜ぶ余裕はない。
結果オーライ。
まずは生命の確保だけはできたのはブラッド・オブ・ボンゴレが働いたからか。
草葉の影ではなく指輪の中で綱吉の体温でぬくぬくしてるご先祖様たちも、喜んでいるところだろう。

ぐえ、と潰されていた綱吉を離すと、バジルは鳴り始めた携帯電話を手に取った。
綱吉はリボーンからであることを期待した。
災厄はリボーンから始まるが、ケリをつけるのもあの家庭教師だ。
だが、流れて来たのはカン高いが女性の声。

「着いたでござるが、綱吉殿を連れてきてしまったでござる。……え、連れて?わかったでござる」

ピっと接続を切ったバジルが、オレガノ女史だったと告げる。
門外顧問チームで、ラルよりもさらにまともな女性だと思った。
これで救われる!!
一縷の望みに縋るようにして、リュックにまた詰められて空港のエントランスに着いた綱吉を、オレガノとターメリック(マッチョ)が、かわいいかわいいといって抱き潰したのは、ご先祖様の御利益も錆び付いているんだろうかと綱吉の脳裏に疑問を刻み付けた。


完?

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