小説:ランダム短編→2

□3月4日
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「ただ、ね。
誕生日プレゼントをこっそり貰おうとして、うまくいかなかっただけなの。一緒に居られるとか特別扱いだとかの確認したかったんだけど、皆と一緒なんだよね。
私ってツナ君の「皆」の中のひとりなんだよ。
ひょっとしたら、ツナ君の役に立つお兄ちゃんの妹ってだけの存在になっちゃうのかな…。
雲雀さんに呼ばれちゃって、並高以外を受験出来ないのも知ってるんだよ。
お兄ちゃんだって、雲雀さんがツナ君を入学させるの知ってるから並高に行ったのも知ってるんだよ。
……先に卒業しちゃうのに、ズルイよね。
私だって私だって。
ツナ君と一緒に居たいんだからぁ!!!!」

ぐっさりとフォークをケーキに突き刺して力説する私に、花がパチパチと手を叩く。

「笑い事じゃないんだから!!」
「はいはい。ケーキぐちゃぐちゃだよ?」
「はっ、いけないいけない」

慌てて崩れた部分を口に運ぶ。ナミモリーヌのデコレーションケーキは、どんな気持ちだろうがお構いなしに美味しい。

「じゃあなんで、ツナに誕生日だって言わないの?」
「そうですよー!!」

ハルちゃんが、ケーキにフォークをブッ刺しながら花に賛同した。

「え、だって…」

ストレートの紅茶を口に含む。ハルちゃんのプレゼントの茶葉は香りがすごくいい。趣味が良くて、ズルイ。

「だって、女の子だけの誕生日パーティーだからお兄ちゃん抜きで楽しめてるけど、ツナ君だけでいいのにあの二人とかお兄ちゃんとかもついてきちゃうじゃない!!」
「そりゃそうだけど」
「私だって、ツナ君と一緒に居たいよーっ!!」
「ハルもですーっ!!」
「……アホだこいつら」

花がアホらし、と肩をすくめた。
反発するよりなにより、花がツナ君を気に入ってることにまだ気付かないことに、こっそり安心した。



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京子→綱吉。
事件でもない限り進展も後退もしない関係。
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