小説:ランダム短編→2

□餅誕「見るだけなら、大丈夫かな?」
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おまけ



現れた沢田は、予想に反して可愛らしいブラウスやミニスカートでニーハイソッスクなんかではなく、ジーンズにだぼだぼのパーカーを着た姿だった。
だが、渡されたのは、綺麗な青いリボンで飾られた白い箱だった。

「ちょっと形がおかしいかもしれないけど、味は母さんのお墨付きだからおいしいはずです」
「そ、そうなのか」
「俺の母さん、料理がうまいってみんな言ってくれるんで、大丈夫です。毒も入ってないので安心してください」

毒!?
ぎょっとして箱から沢田に顔を向けると、まじめぶった顔が笑顔になった。

「持田先輩、お誕生日おめでとうございます!!」

おう、と返したら、ぺこりと頭を下げて、失礼しますと言って去っていった。

箱を開けてみると、確かにマルなんだかソラマメなんだかわからない、たぶん三角っぽいふぞろいのクッキーがたくさん入っていた。

「うまそーじゃん」
「やらないぞ!!」
「へーへー。愛しの沢田綱吉からのプレゼントだからなー」
「いっいっ、イトシノってなんだ!!」
「髪が生えそろってから、沢田沢田うるさいじゃん」
「黙れ」

俺より剣道の腕も顔も劣った、同級生の佐藤からクッキーを守る。

「ま、見るだけなら、大丈夫かな?」
「見てもいないぞ俺は」
「いや、だからダメツナって、最近ヒバリのお気に入りじゃねーか」
「は」
「あの委員長に認められたとかって、最近話題に」
「何だってぇ!!!!」
「つかみ掛かるなよ!!ウワサだよウワサ!!ヒバリが沢田にチョコ渡したって」
「なんだってぇぇええええ!!!!」

絶叫する俺に佐藤は、「じゃあクッキーもヒバリとお揃いか?」と、喜んでいいのか悲しんでいいのか怖がればいいのかわからんトドメを刺してくれた。



おわり。

PS…学校で渡したのが雲雀さんだけだってだけだよ。
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