モンスーノ
□※君には必要ない
1ページ/1ページ
君には必要ないよ…。
そう言うノアの目は何も見えていないようで、震えていた。けれども、俺の腕を掴む手は震えることなく、一層力が増していた。
「必要ない、て、どういうことだよ。ノア」
「その通りだよ。君には必要ない。ビジョンが見える必要はないんだ。だって、僕がいるから」
「ちょ、ちょっと待って!はは、だからどうして押し倒すんだ?」
「実際はどうか知らない。けれどこうすれば君はビジョンが見えなくなるかもしれない…」
「別に見えてたっていいじゃないか」
「よくない」
遮るようにノアの言葉が突き刺さった。チェイスは困惑が隠せず、気づけば額には汗がにじみてていた。
「僕がビジョンを見て君に助言する。その形がベストなんだ…」
ノアはそう呟きながら、ゆっくりとチェイスのズボンに手を掛ける。
「ノア、何するつもりだ」
これ以上は、とチェイスはノアを睨みつけた。その時見えたノアの瞳は余りに弱々しく、迷いを感じれた。チェイスは何事かと思って気を抜いた隙をつかれ、ノアの手が侵入してきた。
「…っ!ほんとにやめろ!ノア!!く、ああ!」
ノアの細い人差し指が入ってくる痛みと圧迫感がチェイスを襲う。しかし、苦しむチェイスを余所にノアの手は動きを止めない。
「あ、ぐ…。」
「大丈夫。痛いのは今だけだ。そのうち慣れるよ…」
ほんとは僕を跳ね除けるなんて君にとっては簡単なことなのに、そうしないのは君の優しさなんだろう。