水が嫌いな人魚姫
□姫、海豚、鯱、ペンギン、蝶に会う
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やっぱりいつもと変わらずメス豚さんからの愛情を受け取りました
今日は私服を持ってきた。学校が終わってからすぐに峰さんのお店のバイトだから
今日もいつもと変わらない同じような授業を聞いて同じような事を学んで、べとべとになってシャワーを浴びて下校する。今日は水泳部休みだったみたいで早く帰る事が出来そうだ
毎日同じ
卒業するまで変わらない日々
そう思っていた・・・
『へっくしゅん』
あれ風邪?
いやいやいやないないない
人魚が風邪って・・・
んー多分誰かがまた悪口言ってるのかも
出来るだけ早く着替えて出て行こうとした時、シャワー室のドアが開いた
『・・・ッ!!』
「誰?」
「どうしたのハル?そんなところで・・・・あっ!」
服は着ていたものの入ってきた彼らと鉢合わせしてしまった
そう、その彼らとは・・・・水泳部員の人達
私を見てかなり驚いているみたい
「なになにどうしたのー・・・ってえっ!?まさかの入部希望者!?」
「・・・美しい」
入部できるわけないでしょ、私下半身魚なんだから。そく退部どころかこの国から出てかなきゃいけなくなるじゃん
・・・何が美しいんでしょうか?
とにかく、ここから早く逃げなきゃ
そう思い私は荷物を纏めてそそくさ彼らの横を突っ切ろうとした時、初めに話しかけてきた人に捕まえられてしまった
『放してください』
「誰?何でここにいる」
「ハル、そんな力入れて冴島さんの腕握っちゃ駄目」
怒っているわけでもなく、ただ少しだけ機嫌がよろしくない口調のただこの中で一人だけ水着姿な彼に私の腕をギュって捕まえられて前へいけない状態だ。そして隣にいる垂れ目な部員の一人が水着姿な彼の手と私の腕を放そうとしている
だけど一つおかしい事がある
『如何して私の名前・・・』
至って私は地味だし、目立った行動もしていない。いや、メス豚共がしているが・・・
彼らのネクタイからして垂れ目の人は2年か・・・。そして眼鏡を掛けている人と、小さい人は1年生。無愛想な彼は何年だろう?
「冴島さん結構有名だよ?凄く綺麗で可愛いくて頭がいいって男子の中では凄い噂の的になってる」
「俺知らない」
『私もそんなの知らなかった』
「・・・なんて、美しい」
私別に綺麗でもなければ可愛くもないし、特別頭がいいわけでもない。噂の的って・・・最悪
というか、美しい・・・って何?だから誰に言ってるのこの眼鏡の人
「はい、これ!」
小さい方の1年の子が私に何処からか出してきた紙を渡してきた。その紙を受け取り、じっくり見てみれば・・・・
『水泳部入部届け・・・』
「そう!この前怜ちゃんが入ってくれたんだけど、もっともーっと部員が欲しいなぁと思って!」
『他をあたっていただけませんか?私バイト掛け持ちしてて部活してる時間がないんです』
頬をぷーっと膨らませ、視線を下へ向け落ち込む目の前にいる彼
「全てが完璧だ」
『あの、だから一体何が美しくて完璧なんですか?しつこいと嫌われますよ?』
「貴女の事に決まってるじゃないですか!!」
『はぁ?』
もういやだこの人。目をキラキラさせながらこっちを見てくる。何が美しい・・だ。私なんて美しさの欠片もないただの半分人間で半分魚の違う種族の生き物なのに
「怜、困ってるから程々にね。ごめんね、引き止めちゃって」
『・・いえ、別に』
眉を八の字にして本当にすまなさそうに謝る垂れ目の人
軽く会釈をして私はシャワー室から出て行った
向かう先は峰さんのお店