水が嫌いな人魚姫

□姫、海豚、鯱、ペンギン、蝶に会う
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峰さんが営んでいるこのお店、私服で出勤OK。ちゃんと黒いエプロンしたらなに着てもいいらしいのです


私はいつものようにお客さんの注文を取り、峰さんが作ったものを出す。それをただ単に黙々とやりこなす








で、何がどうなって彼らがお店に来ているんだろうか?不思議でたまらない


確かあの後、シャワー室をでて・・・そのままこのお店に来た。周りに誰もいなかった気がする・・・けど


何故さっき別れたばかりの彼ら達がいるんだろうか?彼らの視線が死ぬほど痛いのだが・・・





『何でいるんですか?』

「怜がね・・・」

「やはり貴女は何を着ても美しい」

「鯖食べたい」

「ひーちゃんここで働いてるんだね!」



怜さんと言う方は変態なのでしょうか?それともその赤い眼鏡って伊達じゃないんですか?

鯖って・・・というか服着たんですね、無愛想さん

つーか・・・ひーちゃんって誰?もしかして私!?何で私よ?



バイト先知ってどうするんですかね?




『ご注文は?』

「鯖」

「僕、苺のショートケーキ!!」

「貴女をください!!」

「俺は・・・じゃあティラミスもらおうかな」


・・・本当に、何しに来たの?


『分かりました』


一人だけおかしなこと言ってたけど・・・この水泳部員大丈夫なの?


















「やっぱり入ってよ〜」

『無理です』

「お願い〜」

『嫌です』

「何で〜」

『私水が嫌いなんです。それに、泳ぎたくもないし』

「ってこは、泳げるって事だよね?」



しつこい。死ぬほどしつこいこの人

何なの?よりによって如何して私?



「何の話だ?おじさんも混ぜてくれよ」

『峰さん!!』


キッチン放ったらかしにしてキャンディー咥えながらこっちへ向かってきた



「ひーちゃんに入部してもらいたくて・・・。ひーちゃん以外の全生徒を誘ってみたけど駄目だったんです。だから最後の望みで!」

「何の部活に入ってんだ?」


いやいやじっくり話してる暇無いから。お客さんまだいるじゃん。何一人だけ寛いじゃってんの?店長の貴方が何してんですか?


「水泳部」

「・・・・あー無理じゃね?」

「えぇ〜そこを何とか!」

「だってよ、響。どうする?」


私に振らないでよ。どうするも、泳げないから入れないじゃん。水に入ったら一瞬で魚になっちゃうし


「じゃあ、マネージャーとかは?」

「いいねぇ〜江ちゃんも喜ぶだろうし!」

「マネージャー・・・・ぶぅぉはっ!!」

「鯖美味い」


あーもう何か勝手に決めてますよ。いいんですかねぇ?マネージャーって2人も必要か?

てか鼻血鼻血。眼鏡も真っ赤になってるよ、この人



江ちゃんって女の子だよね?

私の事知らないといいんだけど・・・・



『勝手に決められてる』

「いいんじゃないか?一生に一度の高校生活、思いっきり楽しめ!水にすら入らなければいいんだしよ」


言うのは簡単だけど・・・実際にどうかは分からないんだし


「じゃあ、響をよろしく頼むな」

「は〜い!!」


え?

何?

決まっちゃったの?

私が水泳部に入ること決定なの!?


何勝手に決めてんの?

私の都合は?



「って事でよろしくねひーちゃん」

「よろしくお願いします」

「・・・鯖美味しい」

「・・・・」



鯖の事しか頭に無いよーこの人

でもよろしくされたって・・・マネージャーって何する人?

それすら分からない状態なのに・・・
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