新訳銀魂(仮)

□第一話
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カァー…カァー…

朝方、烏たちがゴミ袋を漁っている路地裏に一人の女がいた

長い髪を高い位置で括り、焼けるような赤いマフラーに忍者のような恰好をしていた
そして、空のように蒼い瞳が特徴的だった

?「チッ、せっかく人がいい気で寝てたっつうのに…。気が利かねぇ連中だな」

女は機嫌悪そうに烏に言い放つと、路地裏から大通りに出ていった
女の目立つ恰好に普通なら不思議がるのだが、女とすれ違う人々は何も気にしていなかった
その女がまるで、誰からも『見えてない』かのように…


第一話「はじまり」


2013年 七月初旬 東京

ここに何処にでもある高校がありました

『常盤台高等学校』

この学校の養護学級に一人の男子生徒がいました
彼の名前は¨坂田銀時¨
綺麗な銀髪に澄んだ紅い瞳をしていた
現在、養護学級には彼しか生徒がおらず、今年入学してきた彼には、病弱であるせいか友達は一人もいませんでした
銀時は、昔から絵を描くのが好きだったので休み時間はいつも絵を描いていました

銀「・・・・ッ!」

先程まで絵を描いていた銀時が突然持っていた鉛筆で絵全体を黒く塗りつぶしてしまいました
描いていた絵は完全に塗りつぶされて、何が描かれていたのが分からなくなってしまいました

銀「ハァ・・・ハァ・・・」

銀時は、乱れた息を落ち着かせようと窓を開けました
心地よい風が吹き、息を落ち着かせていると、すぐ近くの木に誰かがいるのが分かりました
木の枝に女が座っていました
後ろ姿のため顔は見えないが赤いマフラーをした髪の長い女でした

銀「(誰だろ?)」

女とは遠くない距離だったので、銀時が話し掛けようとした時、教室のドアが開き先生が入ってきた

先「お〜い、授業始めるぞ。窓閉めろ」
銀「あっ!はい、すみません!」

窓を閉めようとした銀時がもう一度、木を見ると女はいなくなっていた
確かにいた筈と銀時が外を見まわしていると先生からの声が聞こえてきた

先「おい、何やってんだ?」
銀「い、いえ。何も・・・」

銀時は急いで窓を閉め、席に着いたのでした

・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

学校が終わり、銀時がスーパーで買い物を終えた頃には、辺りは薄暗くなっていました
道を歩く人は銀時以外誰もいませんでした
少し急ぎめに家路を行く銀時に誰もいない筈の背後から銀時を呼び止める声が聞こえました

?「おい」
銀「?」

銀時が後ろを振り向くと一人の女がいました
長い髪に赤いマフラー、学校で見た人だ、と銀時はすぐに分かりました
あの時は後ろ姿だったのでわからなかったが、かなりの美人でした
銀時は女の蒼い瞳が不気味に光っているのをみて、怖くなりました
そんな銀時の気持ちを知ってか知らずか、女が口を開きました

?「お前が、坂田銀時か?」
銀「な、なんで俺の名前を・・・?」
?「ふ〜ん・・お前がねェ・・・」

そう言いながら女は銀時の顔を覗き込んできました
驚いた銀時が少し後ずさると、女は一瞬驚いたような顔をすると、にやけ顔になった

?「アッハハハ、そんなにビビるなよー。別にお前を取って喰おうなんて思ってねェって」
銀「ひぃっ・・・」

『喰う』という言葉を聞いた銀時は、女に対する恐怖感が一層強くなった

?「まぁいい、今日は顔見に来ただけだし。じゃあな」

女は銀時の横を通り過ぎ去ろうとしていたが、何かを思い出したかのように振り向いた

メ「名乗るの忘れてたぜ。俺は¨メリー¨だ」

それを伝えると茫然と立ち尽くす銀時に手を振り、闇へと消えていったのでした

・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜

翌日 

先「おはようさん。今日はお前にビッグニュースだぞ」
銀「ビッグニュース??」

翌日のホームルームで先生が銀時に話をしていた

先「今日からこのクラスに転入生がくる!」
銀「転入生!?なんでこんな時期に」

先生が「しかも女だ!」という声は、銀時には聞こえていなかった
もうすぐで夏休みだというこの時期に転入生などおかしかったからだ

先「じゃ、早速紹介するぞ。おい、入っていいぞ」

先生の一声でドアを開け、教室に入ってきた人物を見て、銀時は驚いた
夏服を着ているというのに赤いマフラー、高い位置で括った長い髪。そして、蒼い瞳
転入生というのは、昨日銀時の前に現れたメリーだったのだ

驚いた顔をする銀時に、先生の隣に立ったメリーは満面の笑顔で言った

メ「青葉(あおは)メリーだ。よろしく」


つづく
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