特別版

□私に愛を下さい。
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『愛菜、陸上部の
マネージャーでも
いいからさ、入ってよ』


3階廊下を
歩いている私を呼び止め、
そう言ってきたのは、
基礎化学担当教員の
広瀬拓哉先生だった。


『広瀬先生…私は卓球部に入ってるんですよ…?』


『大丈夫だって。俺が、
なんとかするからさ。ね?』


可愛い口調で
私を勧誘する先生の
右腕が私の肩を抱く。


広瀬先生は去年来たばかりの先生で、化学担当教員で陸上部の顧問も受け持っている。


25歳独身で、彼女は居ないらしく、顔は…"イケメン"で。
上級生にかなり人気者だ。


『…あの、
"ね?"じゃなくて…』


あまりキッパリ断れない私は
先生に返す言葉を必死に考えていた。


『陸上部入ったら、
化学教えてやるよ。
愛菜、化学苦手だろ?』


『…いや…
まぁ…苦手ですけど…』


『愛菜、この間の
中間テスト赤点取っただろ?』


『…いや…あの…』


『はい、だめー。放課後に
退部届と入部届渡すから。』


『…先生!!勝手に話を
進めないで下さいよ…っ』
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