短編小説

□私、結婚してました。
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 明日迎えに来る?!

「キャーっっ!!」

私は怖さのあまり、手紙を壁に投げつける。
ペチリともいわず、何とも鈍い音がして手紙が下に落ちる。


 誰が喜ぶか!!
怖すぎるわーー!!

 「とっ、とにかくお母さんかお父さん、
カッ家族に電話しよう!」

 何とかしなくては!!

 私は一人暮らしなのだ。



あらてのストーカーかもしれない!

慌てて、携帯を開くと

お母さんやお父さん、兄、妹からの着信があった。

 それだけじゃなく、友人、知人たちからも着信が!

 「なっ、何で?普段電話くれない人たちからもこんなに電話がきてるの?!」


 しかも、こんなに着信があったのに気が付かなかったなんて。


 マナーモードにしてたからといっても
ひどすぎるな私。

 とにかく、気を取り直し母親に電話をかけた。


 何コールかの後にすぐに出た母は慌てていた。

 【ちっちょっと有里奈!
電話なんでもっと早くくれなかったの?!

 もう、お母さんびっくりしちゃって!!
結婚のこともそうだけど、どうして付き合ってることも言ってくれなかったの!!】

マシンガンのようなトークが私の鼓膜に響いた。

「ちょっ、お母さん。
落ち着いて!
結婚て?!
困ってるの私なんだけど!!」

【そうよね!
テレビですごく騒がれてるみたいだし!
今日お母さん達のところに来たのよ!

仕事が忙しいから、一緒にご挨拶できなくてすみませんって!
自分だけ先に挨拶来ましたって!
とっても礼儀ただしかったわ!!】

「はぁ?!
誰が挨拶に来たって?!
怖いよ!!
ありえない!!
私、付き合ってる人もいないし、結婚なんてしない!
なにかの間違えだよ。
誰なの?!
いったい誰が来たの?!」


 手紙に書いてあった名前
柏木 俊樹 が浮かびゾッとする。

【、、、何言ってるの?有里奈。
お母さん達には隠さなくて良いのよ。
マスコミや世間に騒がれるのが嫌なら、みんなでちゃんと守るから。

そんなことより、式はいつやるの?!
すべて相手任せじゃないでしょうね?
向こうのご両親にはもう挨拶行ったの?!】

「やっ、だからね。
それが嘘なんだって、違うの!!」

 なんか、よくわからないことになってる!!

 会話が通じないので、電話を一旦切り、
その後、すぐに友人からかかってきたので、出ると……

 【有里奈ちゃん!なになに、すごい!
いつ知り合いになったの?!
やったじゃん!!】
「美奈子落ち着いて。何の話?」
【もう、みんな知ってるんだから、とぼけなくていいって】

 友人の美奈子も興奮していた。

取り残されたのは私だけ。

 話についていけないし、相談もできない。

 「いまは、びっくりしすぎて、うまく説明できないから、また今度ね。」

 私は携帯を切った。

その後も、元彼からの電話に、色んな人たちからのメッセージがわらわら。

一日に何百件も入ってた。
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