短編小説
□後輩
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今日から僕は高校生。
少し大きめの制服に袖を通す。
今日は良いことがあるような気がするんだ。
新しい出会いにワクワクしている。
癖っ毛の髪に櫛を通す。
目がくりくりと大きくて、なんか自分で言うのもなんだけど、チワワみたいだ。
「音彦!朝御飯よ!早く降りていらっしゃい!!」
母さんの声が聞こえる。
「はーい!!」
返事をしてリビングへ行く。
★
式の前に自分のクラスを確認してから体育館に行くようにと門の前の先生に教えられ、クラス表の前までやって来た。
誰と同じクラスだろう?
同中のみんないるかな?
そわそわしながらクラス表を見る。
………… ………… …………
(えっ?!無い!!僕の名前がない!!)
どこをどう見ても、夢野という苗字が見当たらない!!
そ、そんな訳…
「僕の名前が無い!!どーしよう?!
入学できたの夢だったのかな?!」
余りにもの同様で、つい声に出ていた。
「君、一年生だよね?青いネームプレートつけてるし。ここ2年のクラス表だから一年生は向こうだよ。」
僕が動揺をしていると後ろから女性の声がして僕の間違えを教えてくれた。
「え?」
振り返り彼女を見る。
ーーーーーー!!
その瞬間、僕に電撃が走った!!
困っている僕に声を掛けてくれた彼女は僕が小さい頃からずっと、ずっっっっっっと、心に残っていた大切なヒロイン〃雪待 遥〃 (ゆきまち はるか)にソックリだったからだ!!
「僕、間違えてた…?」
とにかく、会話を続けようと出た言葉がこれだった。
「ありがとうございます!」
ペコリと彼女に頭を下げた。
きっ、緊張する!!
落ち着かなくては!!
と、思うのだが上手く行かず、その時は慌てて教えてもらった1年のクラス表へ向かった。
その後、無事にクラスが分かり、一年間一緒のメンバー達と入学式を無事に迎えられた。
何人かいた同中の中で金武(きんや)だけ同じクラスだった。
今朝の感動的な出会いを早速話すと
「うわぁ〜。すげーなそれ。
お前、凶器じみてたもんな〜。
雪待さんのことになると。」
小さい頃に観ていた特撮物のヒロインで、ヒーローの為に最終回の1つ前に死んだんだ。
「だって、僕、凄く悲しかったんだよ!例え作られた物語だったとしても
ずっと好きだった主人公に想いが伝わらないまま、主人公の為に命を落とした彼女を見て。
いつか、僕が彼女を幸せにしたいって思ったんだ!!」
最終回で主人公は敵側のヒロインとくっつくんだ。
最初から敵側のヒロインがメインだってわかってたけど。
何で、雪待さんが死なないといけないんだよ!!?!
って、子供心に荒れた。