book

□02
1ページ/4ページ










家に帰りたいと願った次の瞬間、私はゲームをしていた場所に寸分変わらず座っていた。

しかし、手に持つのはPSPではなくちぎれて血が流れる仔犬サイズの尻尾と弱りきったジン。
服ももちろん装備を一式着たままだ。

ジンをとりあえず安静に寝かせて、バックパックとリュックを下ろしてすぐに装備を脱ぐ。

もしかしたらジンを助けれるかもしれない!!ということに気がついたからだ。

普段着に着替えると大きめのバックにジンをいれ、尻尾を氷水の中にいれて家を飛び出した。


近所の動物病院に走り込み、ジンの状態を説明すればすぐさま手術室に通された。




「これは…ジンオウガにそっくりな生き物ですね、NEXTにはこんな生き物を作れる力があるんですか…」

『お願いします!この子を、ジンを助けて!』

「大丈夫です、初めてのケースですが必ず僕が助けますから、座って待っていて下さい」

「ジン君のお母さんはこちらへどうぞ」






受付のお姉さんに連れられ手術室前に座らされ、手術が終わるのを待った。

最後に手術台に横たわるジンを思い出しては不安になり、涙が出る。





一時間くらい経つと手術室からドクターが出てきた。

ドクターの顔はにこやかだ。





「お母さん、手術は無事完了しました。尻尾もちゃんとくっつきましたし、後は経過を見ていただければ大丈夫ですよ」

『っ、よ、よかったあああ…、っう、うううう』

「もう大丈夫ですよ、今は麻酔が効いていますからまだ寝てますが、どうされますか?」

『今のうちに家を片付けてきます。えっと、目が覚めるのはいつ頃かわかります?』

「そうですね……少しキツめにしたので一時間くらいはまだ目覚めないと思いますよ」

『わかりました、じゃあその、戻るまでお願いしますね』

「はい、それではまた」





血まみれのバックを抱えて自宅に帰れば、気が抜けたのか玄関に崩れ落ちた。
涙を止めることなく流し、声を殺して泣いた。

時間があるのでぐいっと涙を袖で拭い、風呂場で服を着替える。
脱いだ服を洗濯機にかけて、ジンが寝るための場所を確保する。

時計を見ればまだまだ時間があったので、車を出してペットショップに走った。

ご飯はお肉でいいだろうから、鈴付きの首輪と、ベッドと、リード、トイレセット、移動用バックに後は…器くらい??
完全にペットを飼うみたいになっちゃってるけど、仕方ないよね、うん。


それだけをさっさと買って次は病院へ。


買ったばかりのバックを片手に、なんだかボロボロの受付のお姉さんに声をかけた。





「ああ、待ってました!ジン君が目覚めて、暴れてるんです!」

『早くに目が覚めちゃったんですね、大丈夫です、案内してください』





ジンの事だから、そうなるんじゃないかと思ってたよ。
麻酔弾に抗体を持っているから効き目はかなり短いのだろう。
まだドクターが言っていた1時間後まで30分はある。

案内された部屋を覗くと、何名かがジンを押さえつけており、それを無理矢理解こうとするジンの姿。





『ジン?』

「がうっ(リンっ)!!!」





か、可愛い……っ!
ジンのあの嬉しそうな顔、めちゃめちゃ可愛いっっ!
なんだかほっこりして、ジンを離してくれるように伝えると、怖ごわジンから離れて行く。





『大丈夫、私はここにいるわ』





あれ?でもいま、私の名前……呼んだ???















[NEXT/TIGER & BUNNY]
特殊な能力を持つ人間のこと。一種の超能力者


.


次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ