*ココはどこ?え?トリップ?*

□第五話目
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朝。また同じように登校する。
『あー、やっぱ朝はダルい。』
朝が弱い植野は明らかに眠いです、という顔をしながら歩く。
「でも、教室に行けばちょたとか居るじゃん?」
『そうだけど……』
やっぱり朝は無理、と言った。

「そういえばさ、女子テニス部って朝練ないのかな?」
『…あるんじゃない?』
やっぱりちょっと不機嫌な植野が言う。
「コート行って聞いてこようか」
『そうだねー。』
「…友里、あんたどんだけ眠いのよ」

*いつものコート*
誰も居なかった。
『あー、男子の方のコート煩すぎ。』
眠さと女子の悲鳴に近い応援で不機嫌がMAXになりそうな植野。
「まぁまぁ、…でも、女子練習してないね…」
『…体育系だから朝練あると思ったんだけど………』
そう二人が思っていると、部室から誰かが出てきた。
『……誰か出てきたね…?』
「部長っぽい…?」
岡田はかけている眼鏡をグイっと上げ、部室をよーく見る。
『行ってみようか』

岡田の予想通り、部長だった。
「あの、すいません。」
「ん?…あぁ、どうしたの?」
少し驚いたように目を見開いた部長。
「女子テニス部は朝練は……。」
「あぁ、朝練は自由参加にしてるの。」
自由参加?と二人は疑問に思った。

「おかしいわよね。でも、強制にしてしまうと女子テニス部は廃部になっちゃうから。」
困ったように笑いながら言う。
『…廃部………?』
「前も言ったわよね、女子テニス部は男子テニス部目当ての子が多いの。本当に。
だからその子達は本当にテニスをする気なんていうものは無いのよ。
だからもし強制にしてしまえばみんな辞めてしまうわ。だから、自由参加なの。」
「そんなのって……」
「しょうがないのよ、貴女達も出れる時出てくれると嬉しいわ。」
寂しそうに、悲しそうにでも笑顔で言った。

『…明日から、私、絶対、参加します……』
途切れ途切れの言葉だけどしっかりとした意思を持って、言う。
「勿論私も参加します。」
「無理に出なくていいのよ、…でも、待ってるわね」

最後の言葉はとても嬉しそうだった。
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