*ココはどこ?え?トリップ?*

□第五話目
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*教室*
『明日からもっと早く行こうね』
「当たり前!…っつ!?」
教科書を仕舞っていた岡田は急に顔をしかめた。
『どうしたの?』
岡田に近付いてみれば、人差し指から少し血が出ていた。
机の中を覗いてみれば、刃が剥き出しのカッターが入っていた。
「絆創膏持ち歩いててよかった。」
『…咲音ちゃん、本当にいじめじゃないよね、これ…』
心の底から心配だった。
もし本当に、いじめなのだとしたら何があろうとやめさせねば、と思った。
「あー、どうなんだろうね?まぁ、大丈夫さ!」
親指をぐっと出して、ウィンクをする岡田。
『…咲音ちゃんが言うならいいけど…。』
岡田はカッターを仕舞い、準備を続けた。
教室で二人で話していれば、登校してくる人はどんどん増えて、
HRの時間になっていた。




「はい、じゃあ今日も元気に過しましょうね!」
起立〜、礼〜、と、日直の声でHRが終わった。

「岡田さん、今度の金曜日、サーブの練習付き合ってくれないかな?」
鳳が話しかけてきた。
「あ、うん!良いよー」
本当はニヤニヤしそうだったが抑え、ニコっと笑って返した。
その光景を植野は教室を見渡しながら見守る。
紙とカッターの犯人が分る筈。そう思った。
そして、ある女子三人組が顔をしかめてその光景を見ていた。

あの三人だ…。

と、植野は思った。
けどまだ確信が無いし、直接的に岡田が何かをされた訳ではないため、
手が出せなかった。

そして授業が始まり、3時間目まで終わった。
「次の保健、体育に変わって、体育館だってー!」
と、先生から聞いたクラスメイトがみんなに伝える。
『マジか、ごめん咲音ちゃん、WC(トイレ)行きたいから、
これ(教科書、筆箱など)持ってってくれない?』
保健で、教室だったならば、机に教科書を用意しておけば後は行くだけだったが、
体育で、体育館ならばそうはいかない。
「うん、大丈夫、早く来いよー」
そういって教科書を持って先に行ってくれた。

「…調子乗らないでよ。」
通りすがった岡田を呼び出した女の子の一人がボソッと言う。
そして行ってしまった。
「はぁ。乗ってないですよー。」
どうせ聞こえてないのだから軽く言ってもいいだろうと思い、言う。


『ごめん咲音ちゃん、ありがとう!』
「いやいや大丈夫よ! 」
植野が戻ってきた。
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