【AHP】セカキク総詰め

□裏枢軸お花組
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変なやつ









俺は初めて会った時から好きだった。
この黒い艶やかな髪、少し黄色だがしっとりとしてさらさらした肌、控えめな鼻、黒い吸い込まれそうな目。

「はじめまして、本田菊です。趣味は空気を読み、発言を慎む事です。」
「俺はロヴィーノ・ヴァルガスだぞ。ヴァルガスじゃ弟と区別付きにくいから、ロヴィーノって呼びやがれ。」
「ロヴィーノ君…ですね?よろしくお願いします。」
「よろしくなんだぞ…。」

こうして初めて話した時は、変な奴って思ったけど…今でも本当に変な奴だ。

「お前、暑くないのかこのやろー。」
「日本男児なるもの、このくらいは…」

と言いながら熱中症で倒れたりして、本当にびっくりした。
持ち上げて運ぼうとしたら、軽くて更にびっくりしたんだぞ。
まだ、ある。

「ロヴィーノ君、席とってきましたよ。」
「なんで荷物無いんだよ!?」
「今、あそこに置いて…あれ?」
「てめえは馬鹿か!このやろー!」

荷物置いてくる馬鹿がいるか!?
あれには驚いたぞ、ちくしょー。
なんとか取り返したけどな!
子供より危なっかしい。
まだまだある。

「なんで、タオルで前を隠すんだよ?」
「これが私の所では当たり前なんですよ。」

タオルで前を隠す事によって、見たいって衝動に駆られるんだよ、ちきしょー!
逆に恥ずかしいっての!
まだまだまだある。

「ホテル、ベッドがふかふかで良いですね。」
「………。」
「どうしました?」
「寝る時ぐらい服脱げよ。」
「え!?」

俺のとこではジーパンとか外に出るのにはいた服はベッドに入るときにはシーツが汚れるから脱ぐんだよな。
本田はあんな事する時とか暑い時にしか脱がないらしい。
つまり、俺は本田を誘ってしまった感じになったのか?

と、まぁ色々変だ。
だけど、俺は本田が好きになっていった。

「今日はお前にピッツァ作ってやる。」
「本当ですか!?嬉しいです!」

料理の話になると出るその笑顔、ずるいと思う。
ベッラでもないのに、ピッツァでもないのに、食べたくなる。

「…?顔が赤いようですが、大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫だ!ちきしょー!」

俺は空気を読み発言を慎むのが趣味な目の前の本田に一言言いたい。
空気を読みやがれってな!
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