【AHP】セカキク総詰め
□オタクコンビ
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あの子は手強い
Bonjour!
みんなのお兄さん、フランシス・ボヌフォアだよ♪
今日は菊ちゃんの家に来てるんだ。
羨ましいだろう?
でも、チャイムを鳴らして出迎えてくれたのはポチくんなんだ。
トテトテ小さくて可愛い足で走るポチくんを追いかけると赤いジャージを着てテレビの前で倒れる菊ちゃんの姿があったんだ。
「あ、フランシスさん…。すみません、お迎え行けなくて…。」
「菊ちゃん、また食べてないの?」
「えぇ、情けない事に…。」
「アニメ休みの日にまとめて見るのは良いけど…ご飯や睡眠の時間削っちゃだめじゃない。」
「そうですね…気を付けます。」
そう良いながらふらふらと立ち上がる菊ちゃん。
「今、お茶入れますね…。」
「いや、入れなくて良いから!座って!」
「ですが…。」
「それより、キッチン借りて良い?お兄さん、菊ちゃんに料理作ってあげたいんだ。」
「え、それは申し訳ないです…!お客にそんな…!」
「ダメ?俺、料理作るの好きだし、菊ちゃんが幸せそうにそれを食べてる所を見るのも好きだし作りたいんだけどな〜?」
「…では、よろしくお願いします。」
「Merci.(ありがとう)」
こうして、菊ちゃんの家のキッチンを借りて作った料理をテーブルに並べる。
黒い目がキラキラと輝いて俺も嬉しくなる。
「いただきます。」
いつもの無表情が嘘のような食べる時の幸せそうな顔。
あんな味音痴じゃなくて菊ちゃんがご近所さんだったら良かったのに。
「ごちそうさまでした。とても、美味しかったです。ありがとうございました。」
「俺も幸せそうに食べて貰えて嬉しかった、ありがとう。」
「空腹で倒れていてもフランシスさんの美味しい料理が食べれるなら、私は幸せだと思います。」
「菊ちゃん…。」
俺はふんわりと笑う菊ちゃんに魅入ってしまった。
あぁ、なんて美しいんだろう。
手に入れたい…と、俺はそっと手を伸ばした。
その時だった。
「お兄ちゃん、遊ぼ!」
「あ!!すみません、フランシスさん!嫁が私を呼んでいますので、私は行きますね!」
そう「えぇ、遊びましょう!」と言いながら去って行く菊ちゃん。
…やっぱり菊ちゃんの心を支配するのは二次元か…。
俺はため息をつきながらガックリと項垂れた。