【AHP】セカキク総詰め
□枢軸敬語組
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意味のない戦い
私、ローデリヒ・エーデルシュタインは今、戦っております。
成り行きで、私の片思いの相手本田菊と戦う事になってしまったのです。
一応、本田とは友好関係になるので、電話でお話ししてみている所です。
「エーデルシュタインさんと成り行きで戦う事になってしまいましたね…。」
「そうですね。貴方があんな眉毛のエロ紳士と同盟を組むからですよ、このお馬鹿さんが。」
「でも、エーデルシュタインさんの軍艦がたまたま王耀さんの所にあるようですが…。」
そう、私の軍艦は王耀に停泊しているのです。
「あの軍艦は古くて遅く、とてもではありませんが貴方の軍艦に勝てるものではありません。しかも、石炭も残り少ないのでハワイに逃げる事すら出来ないのです。」
「では、どうしましょうか?」
「えぇ、困りましたねぇ。」
あまり意味の無い争いは避けたいものです。
それに、放っておかれては石炭が無くなり軍艦は沈んでしまうでしょう。
「あ、では。こういうのはどうでしょう、エーデルシュタインさん。貴方の軍艦の武装を解くのです。そうすれば、武装してない軍艦は砲撃する必要がありません。」
「いい考えですね。そうしましょう。」
私は電話を切って、早速軍艦に電話をしようと思っていました。
しかし、あの白い髪をし赤い目をもったお馬鹿さん、ギルベルト・バイルシュミットがやってきました。
このお馬鹿さんとは仲良くしていないとどんな目にあうかわかったものじゃありません。
「お前、今誰と電話してたんだ?」
「いえ、誰でもありませんよ。」
「ふーん、まぁ気にしないでやるぜ。」
ニヨニヨと見てくるギルベルト。
何を企んでいるのでしょうか。
「ところで…お前のとこの軍艦、王耀のとこにあるんだってな?」
「…そうですが。」
「勿論、勇敢に戦ってくれるよな?」
「…勿論です。」
「ま、言いたい事はそれだけだ。じゃあな。」
あのお馬鹿さんは釘を刺しに来たのですね。
私は仕方なく、軍艦にその場に留まるように連絡しました。
そして再び、本田に電話をかけました。
「もしもし。」
「もしもし。先ほど電話したエーデルシュタインです。」
「あぁ、エーデルシュタインさんですか。報告出来ましたか?」
本田の優しい声色に私は心を抉られる。
この気持ちをピアノで表せれば良いのですが…今は残念ながら電話の最中です。
「いいえ、私はこの計画は実行出来ない事を報告しに来たのです。」
「え、どうしてですか?」
「それは言えません。私は貴方に宣戦布告します。」
「…分かりました。ですが、貴方の軍艦を妨害せずに上海へ航行し、そこで武装解除することに、たった今、カークランドさんが同意しましたからね。」
何故、貴方を裏切り宣戦布告をしている私に向かって優しい事が言えるのでしょうか…。
私は涙が出る思いでした。
ですが、私はそこに留まり、自沈する事を命令したのです。
「…と、いう事がありましたね、本田。」
「そうですね…。もう戦争はしたくありませんねぇ。」
「これからも仲良くしていきましょうね。」
「そうですね。」
こうして本田は私に向かって微笑んだ。
とても言葉では表せられない感情が体を巡り、心拍数を上げていきます。
本田のせいですよ、このお馬鹿さんが。
「今、この気持ちをピアノで演奏します。…ちゃんと座って、お聞きなさい。」
「はい、ありがとうございます。」
私がピアノを演奏し、それをきちんと聞いて感じてくれる人がいる…私はそれだけで幸せなのです。