【AHP】セカキク総詰め

□週末コンビ
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lare









「アドナンさん…どうして先程から私の回りを少しずつぐるぐると手を横に伸ばしながら回っているのですか?」
「俺の事は気にしないでくれぃ!」

俺は、サディク・アドナンだ。
今は本田を観光案内してるとこでぃ!
だが、何故か…奴が近づいて来てるんでぃ…。
誰かって?
あったりめぇよぉ!
あの、ヘラクレス・カルプシに決まってるじゃねぇか!

「アドナンさんは仮面を被っていらっしゃるので私は貴方の考えている事がよく読めませんねぇ…。」
「俺の考えているこたぁ、お前さんが大好きって事とヘラクレスをぶっ潰す事でさぁ!」
「おや、相変わらず仲がよろしいようで…。」

ちっとも良くなんかねぇですぜ。
今だって無言の火花を散らしているとこでさぁ。
あいつの家の近くのお店をちらっと紹介しようとしたら、たまたまヘラクレスの野郎がいやがったんでぃ!
慌てて本田を隠したのは良いが、怪しまれて後を遠目で追われているとこでさぁ!

「本田は本当に野郎と俺が仲良く見えるんでぃ?」
「えぇ、喧嘩する程仲が良いと言いますしねぇ。」
「本田、それはちょっくら間違ってるってもんよ!」
「そうですか?」

本田の不思議がる顔も可愛いが、勘違いされたままってのも辛いもんよ!

「本田、お前さんは人の顔を見たら空気を読めるそうじゃねぇか。」
「え…はい、多少ならですが。」
「じゃあ、仮面取るから俺の気持ちを察してくれよ?」
「え!?」

俺は仮面を外した。
仮面を外したら空気を読むためにじっと顔を見つめられる。
俺も本田に気付いて欲しいから真剣に見つめ返す。

「どうでぃ?本田。」
「…はい、とてもイケメンでいらっしゃいます。」
「…!?不意打ちにそんな殺し文句を真面目にさらりと何言いやがるんだ、べらぼうめぃ!」
「えっ、すみません…。」

本気で思った事を言ったらしい落ち込む本田。
やっぱりお前さんは可愛い。
あ、ヘラクレスはどっか行ったようだな。

「じゃあ、読めないなら読ましてやらぁ。」
「はぁ、誠にすみません。」
「じゃあ、俺のとこの花は何かわかるかい?」
「はて…何でしたっけ?確かチューリップ…?」
「そう、チューリップよ!俺のとこではlare(ラーレ)って呼ばれてるんでぃ!」
「それは存じ上げませんでした…。」
「だろぃ!?ここでは、文字や言葉じゃあ無くて"花に思いを託して相手に贈るという風習"があったんでぃ!だから、本田にも思いが伝わるように花を送ってやらぁ!」
「へぇ、アドナンさんのとこはロマンチックですねぇ…ありがとうございます。」

それから俺は近くの花屋さんで赤いチューリップの花束を買って本田に渡したんでぃ!

「可愛いお花です。大切にしますね。」
「あぁ、大切にしてくれよ!あと、ここではチューリップのこんな言い伝えがあるんでぃ!」
「おや、どんな話ですか?」
「ある村にファルハドという男性と、シリンという女性がいたんでぃ。2人は恋人同士でさぁ。あるとき、村の井戸が枯れてしまったんでぃ。ファルハドは村人たちのために一生懸命に井戸を掘ったんでさぁ。お人好しな奴でさぁ。まるで本田みてぇな奴よ!」
「私はここまで優しくないですよ?」
「いんや、本田に助けられたやつぁ沢山いるぜぃ?まぁ、続きだ。彼のおかげで、また村の人々は水を使うことができるようになったんでぃ!だれど、井戸堀りにどれほどの月日を費やしたんだ?井戸を掘ることに夢中になっているあいだに、彼女のシリンが命を落としていたことを彼は知らずにいたんでさぁ。仕事に明け暮れて愛する人を失ってしまったファルハドは大変なショックを受けて、悲しみと償いのために崖から身を投げてしまったんでぃ。すると、ファルハドの血からは真っ赤なチューリップが咲いたっつー話よ!」
「…なんか、悲しい話ですね。」
「まぁ、話の言い伝えって大抵そんな話じゃねぇですかい?」
「あぁ、確かに!!」

そう言って笑う本田は本当に花みたいに綺麗だったんだぜぃ。
こうして本田は帰って行ったんだが…きっと忙しくて花言葉を調べる事すらねぇんだろうなぁ。

赤いチューリップの花言葉…愛の告白。
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