Vita/minX

□月額315円の浮気
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最近あいつは携帯を見ていることが多い。バカサイユにいても家にいても、何処でも画面を見つめている。一度俺からの Mailを待っているのかとLoveletterを送ったら直接何の用だと聞かれた。時々担任と画面を見せ合っているのを見たことがあるが、何やら 2人してニヤニヤと笑っていた。今も俺の目の前で携帯を見ながら何か操作をしている


「 輝、暇だ。何か話せ」
『何か』
「そうではない!!」
『もう少ししたらかまってあげるからちょっと待ってて』


恋人である俺を放置してまで携帯に夢中だと。もしや、浮気などしてはいないだろうな。操作しながらも幸せそうな顔をしているのを見ていると嫌な考えも浮かんでしまう。折角自分の物に出来たというのに手放すなど出来るはずがない。慌ててSofaから立ち上がり、彼女の隣に座った。何だという顔をこちらに向けるも直ぐに画面に視線を戻す


『何?』
「つまらん」
『子供か』


輝は携帯を見ながら俺の頭に手を伸ばし、わしわしと髪を撫でた。 Sit!フカクにも照れてしまったじゃないか。撫でる手を掴み自分の頬に当てると、俺はそのまま横になる


『今度はどうしたの』
「俺に構わないからだ」
『あーもう。やめよ』


輝は携帯をTable に置き、俺を見た。漸く俺を見てくれたことに少し嬉しくなる。我ながら単純だとは思うが、仕方がない。細い指が俺の髪を何度も梳き、開いている手は俺が握る。おいこら携帯、お前にはこんな事出来まい


「 輝」
『何?』
「俺は携帯より大切か?」
『何言ってるの?』
「近頃お前はずっとあれを見つめていただろう」
『あーそのこと』


彼女は俺の髪から手を離し、再び携帯に手を伸ばし何やら操作をすると俺に画面を見せてきた




ヒミツの放課後〜王子様との時間〜





「なんだこれは」
『悠里ちゃんに勧められちゃってさ。最初は全然興味なかったんだけど意外と面白くてね』
「この HeartがMax の男は何だ」
『その子が今の攻略キャラクター。俺様ツンデレの一君』
「一だと!?」
『名前が一緒なだけだからね』


画面に映っているのは不機嫌そうな顔でこちらを見る黒髪の男。 NavyのBlazer を着る男は少し頬が赤い。聞けばもう後少しで PerfectEndらしいが


「今すぐ消せ!!」
『えぇ!?』
「えぇじゃない!!こんな男と PerfectEndなどさせるものか!!」
『いやいや!これあくまでゲームだからね!?』
「 Gameだろうが何だろうがこの男はお前に好意を持っているのだろう!?」
『そういう設定だからね!』
「そんなもの許さん!!永田!!今すぐこの Gameを全て消去しろ!!!」
「かしこまりました、翼様」
『ちょ、智也!駄目だってば!悠里ちゃんもやってんだから!!』
「担任もそろそろ現実を見る事だな」
『翼にだけは言われたくないだろうよ!!』


月額 315円の浮気

(大体なぜこの男なんだ!!)(翼に性格が似てたからだよ。俺様ツンデレ)(なら俺でいいだろう!)


貴方は一生掛けて攻略したいので





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