短編
□泣いてる彼。
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「…ごめん。今カッコ悪いから見んといて……」
「、…」
中学生最後の夏、我が四天宝寺は----
「…っ……」
ごめん蔵。
私泣いてるあなたのこと…
「蔵。」
「っだから…」
「蔵。これは頑張った証だよ。」
「、」
蔵のほっぺたを私の両手でつつむ。
「蔵は、ちゃんと精一杯頑張ったんでしょ?」
「…」
「諦めたとか、どうでもいいとか思ってるんなら、私はなんも言わない。」
「っ、…」
「…蔵は頑張ったんだよね。」
「ぅ…俺、勝ちたかった…!」
「うん。」
「勝って…優勝、したかった…!、でも……俺は…!」
「みんな知ってるよ…蔵がいつも最後まで残って練習してたこと、そのあとも公園で一人…練習してたこと…。みんな……知ってる。」
「う…ふ、……グスっ……ありがとな…ユキ……」
「うん…みんな、待ってるから。」
「おん。…すぐ行く。」
勝負で勝ち負けがでるのは、仕方のないこと。
…でも、負けたとしても------
頑張った証は、消えない。