短編

□泣いてる彼。
1ページ/1ページ

「…ごめん。今カッコ悪いから見んといて……」

「、…」


中学生最後の夏、我が四天宝寺は----


「…っ……」

ごめん蔵。

私泣いてるあなたのこと…

「蔵。」

「っだから…」

「蔵。これは頑張った証だよ。」

「、」

蔵のほっぺたを私の両手でつつむ。

「蔵は、ちゃんと精一杯頑張ったんでしょ?」

「…」

「諦めたとか、どうでもいいとか思ってるんなら、私はなんも言わない。」

「っ、…」

「…蔵は頑張ったんだよね。」

「ぅ…俺、勝ちたかった…!」

「うん。」

「勝って…優勝、したかった…!、でも……俺は…!」

「みんな知ってるよ…蔵がいつも最後まで残って練習してたこと、そのあとも公園で一人…練習してたこと…。みんな……知ってる。」

「う…ふ、……グスっ……ありがとな…ユキ……」

「うん…みんな、待ってるから。」

「おん。…すぐ行く。」




勝負で勝ち負けがでるのは、仕方のないこと。


…でも、負けたとしても------


頑張った証は、消えない。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ