..novel..
□仕事(*)
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パトロールはいつも同じ時間で、俺の担当だ。
パトロールは好きだ。自分の生まれ育った町を守っていると実感できる。
(んん?あれ...駐車違反だよな?)
ヘソンの目の前には明らかに駐車禁止区域に駐車している黒のセダンがあった。
自転車をすぐ近くに置き、運転手側の窓ガラスを叩く。
窓ガラスはスモークがかかっていて中が見えなかった。
人が乗っているのかもよくわからない。
(乗ってないのかな?)
そう思いつつ叩き続けてると、突然窓ガラスが開いた。
運転席に座っていたのは高級そうな服に身を固めた男だった。
年齢は同じくらいだろうか?
「警察です。ここは駐車禁止ですよ!標識もあるし。罰金です。名前と免許証の確認をさせてください。」
運転席の男はチラリとヘソンのことを見ると、メモのようなものとペンを取り出し、何かを書き留めた。
「これでいいか?」そういって、その紙をヘソンにつきつけた。
不思議に思って受け取ってみると、多額の小切手だった。
「えっ!こんなに!?ちがっ...免許証っ!」
そう言った時にはもう窓は閉められ、車は発進していた。