へるぷみー
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電車の中。
お気に入りの曲を爆音で流しながら、女性専用車両へ乗る。
当然のことながら、及川さんはいない。
朝だからLINEは誰からも来ないから、LINE通知音が鳴らなくて心地よい。
ドン、ドンと響く重低音に耳を傾けて、電車に体を揺すられる。
目を閉じてうとうとしていると、ピロリンと珍しい音が鳴った。
「通知音…?珍しい」
目を開いて差出人を気だるそうに確認する。
スクロールしていき、一番はじめのところへたどり着く。
名前は、はっと息を呑んだ。
『今日の帰り、迎に行く。大切な話がある。じゃあな』
一方的に告げられていたその内容の差出人は、
いままで名前が避けていた人。
「飛雄…」
あのあとこんなLINEがきたのは初めてだったから、唖然とした。
やはり、今朝のことについて怒っているのか。
それとも別のことか。
悩んで葛藤していると、いつのまにか目的地へ着いた。
考え事をしているとあっという間。
そう頭の中で呟いて、電車を降りた。