へるぷみー

□11
2ページ/2ページ



電車の中。

お気に入りの曲を爆音で流しながら、女性専用車両へ乗る。
当然のことながら、及川さんはいない。

朝だからLINEは誰からも来ないから、LINE通知音が鳴らなくて心地よい。


ドン、ドンと響く重低音に耳を傾けて、電車に体を揺すられる。
目を閉じてうとうとしていると、ピロリンと珍しい音が鳴った。



「通知音…?珍しい」


目を開いて差出人を気だるそうに確認する。
スクロールしていき、一番はじめのところへたどり着く。

名前は、はっと息を呑んだ。



『今日の帰り、迎に行く。大切な話がある。じゃあな』


一方的に告げられていたその内容の差出人は、
いままで名前が避けていた人。




「飛雄…」



あのあとこんなLINEがきたのは初めてだったから、唖然とした。

やはり、今朝のことについて怒っているのか。

それとも別のことか。




悩んで葛藤していると、いつのまにか目的地へ着いた。


考え事をしているとあっという間。


そう頭の中で呟いて、電車を降りた。
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ