へるぷみー

□04
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そして校門につき、恵ちゃんとさよならをした。






今日は入学式だったから半日だから、まだ日差しが強い。
暖かいけど、少しひんやりしている。

コートを羽織りなおすと、寒さが和らいだ。
もう、春だ。

もう少し暖かくなってもいいと思うんだけど。


はあ、と息を吐くと、それがうっすらと白く染まった。




名前の頭の中は、及川のことでいっぱいだった。
どうやってお礼を言おう、と。

及川に近づくのは容易ではないはずだ。
行くところ全てに周りがつきまとうだろう。

正直、あんなに女子の大群があって驚いたが。








校門の少し先に、見慣れた黒い髪が見えた。

あれは。



「...飛雄?」



控えめに呼ぶと、その頭が動いた。


校門から顔をのぞかせると、息をはあ、と整えている彼が見えた。





急いで漕いできたのだろうか、額にはうっすらと汗が浮かんでいた。

そして自転車を降りると、エナメルバッグを持ちながら駆け寄ってきた。


「ど、どうしたの!?」

「はあっ...お前、痴漢に、あったん、だろ」


エナメルを地面に置くと、こちらを睨んできた。


「何やってんだよボゲェ!!!」


頭上から怒鳴られ、体がビクッとなる。


ちらっと周りを見れば、ちらほらとこちらを見る人がいた。


...恥ずかしい。



周りにはセーターにシャツに赤いネクタイ。
スカートやズボンはチェック、という服装がずらりといるから、
黒い学ランはすごく目立つ。



「私の不注意。これから女性専用車両に乗るから、大丈夫」



名前がそういうと、さらに影山は目つきを鋭くし、説教をし始めた。
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