へるぷみー
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「起立!ありがとうございましたー」
最後の授業が終わり、皆荷物をまとめはじめる。
眠たそうに目をこすり、先生に隠しながら付けていたイヤフォンを外す。
くぁ、と伸びをして、イヤフォンのコードを雑にぐるぐると巻いてバッグに投げた。
窓から外を見ると、既にサッカー部がランニングを始めたところだった。
ガサゴソとバッグにてを突っ込んでスマホを取り出し、LINEを開く。
『分かった。』
待っていたセリフが来ており、はぁとため息をついた。
断られなくてよかった。
スマホを片手にバッグを掴んで立ちがると、イスを引かないまま歩き出した。
暫く歩いて、校内にある自動販売機についた。
100円投入し、指でピースサインを作ってドス!とボタンを押す。
こんなにもイライラするとは、自分でも思っていなかった。
たかが1日、朝登校を拒否されただけで、丸一日イライラするとは。
ガコン!と落ちてきた飲み物は、別に欲しくもないぐんぐんミルクだった。
「日向が飲むべきだろ…」
ブスッとストローを刺して、一気に飲む。
ぷはっ、と飲み終わったあとの牛乳の少し甘い感じがくどい。
無言で飲み、空になった箱をゴミ箱に投げる。
綺麗に入ったそれに、気分が少しだが良くなった。
ふと体育館に目を向けると、バレーの音はしてこない。
今日は体育館を使えない日だ。
バレー部の活動はなし。
手のひらを見つめた。
ーーこれから名前に会いにいく。
ギュッと握り、イヤフォンを耳にさして歩き出す。
いまからいくと、夕方になるまでにはつくだろうか。
自転車を押しながら考える。
もう一度大きな欠伸をして、それに跨って走り出した。